DAYS JAPAN 8月号より
大西暢夫氏の「精神科病棟の笑顔」
精神科病棟に入院している人たちの日常を
映し出している写真が紹介されている。
どの写真もその人らしさが表れていて、
「大西さんを信頼しているんだなあ」と、伝わってくる。
この写真を見ていると、思い出す患者さんがいる。
私が看護学校3年の時に、精神看護学実習で訪れた、
精神病院の急性期病棟。
私は、統合失調症のSさんを受け持つ。
受け持った当初、彼の「できない部分」ばかり目がいってしまい、
彼もそんな私の態度に気がつき、
私とSさんの間には溝が生まれた。
しかし、臨床指導の先生との毎日の振り返りの中で、
私はSさんとの接し方を変えていくことができた。
そんなある日。
毎日同じ場所をぐるぐる徘徊しているか、部屋で寝ているSさんが
初めて、レクリエーションのバレーボールに参加した。
「僕が頑張っているところを、あなたに見てもらいたいんだ」
そう言って照れていたSさんの顔は、ずっと忘れないだろう。
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