チェルノブイリ被災による奇形発生と遺伝的影響

中絶する女性たち

なんだか、小難しいタイトルですね
去年、遺伝子学の研究で高名なDR.ラジュクが来日したときに聞いた話を、
分かりやすく簡単にまとめてみました。

1986年4月26日に起きた、
チェルノブイリ原発事故をご存知でしょうか?
当時は旧ソ連によって情報が隠蔽され、
不幸なことに、事故当時の風向きのせいで、
死の灰は、今のベラルーシ共和国に降り注いだのです。
(86年当時、ベラルーシはまだ旧ソ連でした)
ちなみにチェルノブイリは、ウクライナにあります。

原発事故は人類史上初のことなので、
今後どういう影響がでてくるか分からない状況です。

最も恐ろしいのが「低線量被曝」「体内被曝」です。
これは、大気中に飛び散った放射能を吸うことで、
また、放射能に汚染された土壌で育った作物を食べることで、
体内では常に放射能にさらされている状態になります。
そして少しずつ、体が蝕まれていくのです。
これは、遺伝子を傷つけてしまうので、
子孫にも影響がでると思われますが、
未知の出来事なので、
具体的にどういう形でどんな症状がでるかは分かりません。

20年前に被曝した少女たちが妊娠・出産するようになり、
彼女たちがどんな不安を抱えているか、
とても気になるところです。
実際、ベラルーシでは中絶の件数が多いのです。
事故直後の出産件数が年間18万件だったのに対し、
中絶件数は30万件でした。

そして人工中絶の胎児には、
先天性異常が見られ、それは年々上昇しています。
なぜベラルーシの女性は中絶するのでしょうか?
①経済的な理由による。障害児を育てるのはお金がかかるため困難。
②「家族計画」が未発達。
そのためベラルーシでは、もともと他の国に比べて人工中絶件数が多く、
出産件数の方が少ない、というベースがあります。
それが事故後、加速したわけです。
多くの妊婦たちは、
生まれた子どもの疾患をフォローしていくのは、
時間がかかるため非現実的ととらえ、
中絶することで解決しようとしたのです。

ベラルーシでは、
「先天性異常のある子どもは中絶してもいい」
という考えが、医療従事者の中でも普通にあります。
私はその倫理観に驚かされ、
今後、ベラルーシで母子保健活動を始めようとする私にとって、
とても大きな壁なのです

では、どんな先天性異常が見られるのか?
ダウン症や神経障害、無脳症、小頭症、多指症、食道閉鎖、肛門閉鎖
などなど。
漢字を見ていただければ、だいたいどんな症状か分かると思います。

事故後ベラルーシでは、女性の妊娠年齢が低下しました。
何故なら、第一子は中絶する確立が高いことを考慮し、
できるだけ早く妊娠するようにしたのです。
そしてすでに子どもがいる女性は、
今後妊娠しないように気をつけています。
もちろん全ての女性がそうであるというわけでなく、
そういう女性が多い、ということです。

これは悲しいことです。
子どもを産みたいときに産み、持ちたい数だけ持てないのは、
人間の営みとして、不自然なことだと思います。
女性が安心して子どもを産み、育てることができる環境を
少しでも取り戻せるお手伝いがしたいと思っています。

ということで、
3月2日~9日まで、ベラルーシに行ってきます。

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