ゴラン高原~豊かな土地を求めて

中東にあるゴラン高原は、
シリア、イスラエル、ヨルダン、レバノンの国境が接する地域で、
もともとはシリア領でした

乾燥している中東にとって、
水資源の確保は、大きな問題でした
しかし、高原は標高600M.
雪が積もり、一年を通して豊かな水が流れます

そんなゴラン高原を、イスラエルは4回の紛争を起こして
強引に手に入れようとしました

イスラエルは、ここを独自の領土だと言い出し、
イスラエル軍を駐留させることにしました
そして、いまだ住んでいるシリア人17000人との間に、
緊張状態が続いています

ここに住んでいるシリア人は無国籍状態で、
イスラエル側は、彼らにイスラエル国籍を取得させるべく、
強引な方法を取っています

現在、ゴラン高原には停戦ラインが引かれ、
国連軍が治安維持の役割を果たしています
日本からも自衛隊がPKOの一環で、
ここに派遣されています

ゴラン高原には、シリア側から入ることができます
イスラエル軍に破壊された町・クネイトラは、
シリア内務省のパーミッションをもらい、
役人のガイド(監視!?)つきで、行くことができます

私も去年、行ってきました

ダマスカスの内務省でパーミッションをもらうのに、約30分
それからバスを乗り継ぎ、
英語がまったく通じない町をいくつも通り越し、
「本当に、こっちに行って大丈夫なの」と、
不安になりながらもなんとか到着

内務省の役人兼ガイドが私を待っていました

着くなり、
「ボン、ボン、ボン」
と、遠くから聞こえてくる爆発音
「ああ、イスラエル軍の威嚇射撃だよ」とガイド・・・
「これ、毎日続いてるんだよね~」
ええええええ~~~

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これが、雪解け水を豊富に含んだ山です
イスラエルは、これが欲しいんですね。

でも、クネイトラをちょっと歩くだけで、
イスラエルがなぜここを欲しがるか、わかるような気がしました
とにかく、陽がキラキラして明るいんです
オリーブがたわわになり、破壊される前は、
果物やら野菜やらが、たくさん採れたそうです

あまりにも気持ちよくって、ふらふら~って歩いてるとガイドに、
「そっちは、地雷が埋まってるから行くなっ」と。。。
ひえっっっ~~

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手前に見えるのは有刺鉄線
これが、ずっと続いています。

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その向こうに見える山には、たくさんのアンテナが見えます。
ここに、イスラエル軍が駐留し、
ゴラン高原全体を監視しているのです

少し歩くと・・・

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メインストリートです
両側の建物が破壊尽くされています。

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ここは銀行だった建物

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ここは教会です

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破壊されたモスク

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ある噂によると、
イスラエル軍が撤退したあと、
シリアがここをわざと破壊し、イスラエルの残虐性を強調しようとした、
とも言われています
それが、真実かどうか、私にはわかりません。

しかし、イスラエルが強引にここを手に入れようとし、
その結果、追い出された住民が存在するというのは事実。
そして、停戦ラインが引かれたことで、
一家離散の悲劇を招いたのも事実です

先ほどの写真のメインストリートに差し掛かったところで、
「カランコロン」
と、何度か音が聞こえました。
ガイドが言うには、
「ここを破壊されて出て行った住民は、
毎週金曜日にここに戻ってくるんだよ
そして、玄関の前にすわり、
コーヒーの飲みながら、昔の話をするんだ」と。

帰国してから知ったことですが、
この破壊されたクネイトラに、住み続けてる人もいるらしいです

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緑が生い茂る中、神々しい光を放っていた木
そして、下の写真はオリーブの苗木が少し成長したものです

人間がどんなに破壊しても、
美しいものは残るし、町を蘇らせたいという思いは行き続けています

そして温かい空間には自然に人が集まるし、
「守りたい」、という力が働きます

人間の残虐性とは対照的に、
自然や人間が本来もつ、「強さ」を感じさせられる場所でした

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