「ファミリーブックの導入、佳境に入る」の巻~マルチシムー二教会クリニックでのIDPに対する医療支援

移動する難民には自己管理するカルテが必要です

アルビル市アインカワ地区のIDP(国内避難民)の数は約5万人です。そのアインカワ地区に去年できたマルチシムーニクリニックの1日あたりの外来者数は約200人。そして、3つのブランチクリニックの受診者数も同じくらいです。クリニックができてまだ1年未満で、これから連日40℃を超える真夏になるため、今後クリニックの受診者数が増える可能性があります。

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カルテからファミリーブックへ

そのため私たちは、早い段階で個人カルテの導入を進める予定で話を詰めてきました。4月から試作を重ね、ようやく今回、簡易的な製本を行い、トライアルとして100家族に導入をすることになりました。
4月イラク渡航時のカルテ作りの経緯

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→写真は試作5点。

最初、個人個人が自分たちの医療情報を持ち歩けるような、いわゆる一般的な「カルテ」の導入を考えていましたが、イラクの医師たちから「家族で1冊持つファミリーブックのほうが良い」という提案があり、急遽ファミリーブックの試作を数回重ねました。フォーマットを何度も変えて、あーでもないこーでもないと、朝から晩まで(ちょっと大げさ!?)繰り返しました。リカァ先生とナガム先生にもご協力いただき、素晴らしい試作が完成!!

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いよいよ製本

うひぃ!!
今回こそ、私の滞在中に製本に持ち込める〜〜!!!
で、午前中にみんなでホテルのロビーで完成させ、その足でダウンタウンの製本街に加藤くんといそいそと出かけていきました。カーシムに協力してもらって数店舗で値段の交渉〜

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そしたら、驚きの事実が判明したんです!アルビルにはB5サイズが存在しない!!

最初私たちはA4サイズのファミリーブックを考えていたのですが、モスル出身の医師たちから「B5サイズの方が良い」と言われ、B5サイズにしました。しかし、アルビルのどこの製本所もB5は存在しないし、表にするファイルはA4のみ。つまり、同じイラクでもアラブ地域には普通にB5サイズがあるけど、クルド地域にはないってことなんですね。

今後の課題

なのでひとまず、A4サイズの用紙に印刷をしてその後B5サイズに手動で裁断。ファイルもA4サイズのものを買って、手動でB5に裁断です。そう考えると、コストは安いけど手間がかかり過ぎる〜
ということで、トライアルの100部はこのままの製本方法で作成して実際に患者さん100家族に導入し、その後評価して使い勝手や製本方法を改善していきたいと思います。

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→A4サイズのファイルを購入したので、これをB5に裁断します。。。

参考に、JIM-NETの場合

去年JIM-NETのプロジェクトで「妊娠期の過ごし方」という冊子を作成しました。サイズはA5サイズのマット紙と光沢紙。1000冊で600ドルという安さ。ファミリーブックの本格導入の時はここの製本所を利用できたらいいな。

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プロジェクトの概要

プロジェクトの実施団体→日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)
活動地→イラク共和国アルビル県アルビル市アインカワ地区
実施期間→2015年2月~7月

背景

イラク国内では、去年の夏から激化したダーイシュ(IS)の迫害によって、ニナワ県モスル等からクルド自治区に約85万人の方々が逃れてきています。彼らは建設中の建物や空き家、学校、広場そして宗教施設等で生活をしています。その内、約5万人のクリスチャンは、クルド自治区のアインカワ地区(クリスチャンの地区)で暮らしています。

そんな中、同じ国内避難民でありクリスチャンの医師らが、マルチムーニ教会にクリニックを設け、診療活動を行っています。去年の7月から1日約500人近くを診察しているクリニックでは、9月から薬品購入の資金が足りず、医療設備も不十分なため、慢性疾患を抱える方々の継続した治療が困難な状況にあります。

JCFが2009年から行ってきたサポートしてきたイラクの小児科医であるリカァ・アルカザイル医師が、去年の7月にご家族とともに長野県松本市に避難してきました。リカァ医師の友人であり親戚でもある小児科医のナガム医師がマルチシムーニ協会のクリニックの立ち上げと継続した運営に関わっているため、今回JCFがクリニックのサポートを実施することになりました。

事業内容

1.初期診療における投薬指導
2.カルテ作成と管理スタッフの育成
3.医療チームの派遣による医療体制構築支援

IDPとは

国内避難民のこと。「難民」とは異なり、自分の国の中で避難している人々をさします。

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