今、レイトショーで公開されている映画、
ナイロビの蜂。
ラブストーリの中に、
ケニアで繰り広げられる、
製薬会社の陰謀を織り交ぜている。
これが、ただのラブストーリーだったら
私は観なかったと思う。
製薬会社の悪事が絡んでいたから、興味をそそられたのだ。
タイ、インド、ブラジルなどでは、
安価な薬品である、ジェネリック薬(コピー薬)
を生産している。
しかし、巨万の富を死守したいアメリカの製薬会社は、
自分たちの特許権を守るために、第三国を切り捨てている。
そんな現実に、一矢報いてる映画だ。
少し難しいけど、知っておいたほうがいい、
薬と特許権の話。
新薬は、その製造コストに比べ、非常に高い価格で市販されている。
市販までの長期間の研究開発経費が非常に高いからだ。
開発した医薬品に対して、企業は特許によって20年間にわたり保護されるため、
20年間は一方的に高い価格で市販し、巨利を得ている。
しかし、特許法は国内にのみ有効なので、
途上国は、先進国の製薬会社の製品をコピーしてジェネリック薬を生産し、
自国内に安い価格で供給してきた。
これが1980年代のこと。
しかしこれに対しアメリカは、
WTO(世界貿易機関)を設立し、
ジェネリック薬を生産する途上国に対し、国際条約(TRIPS協定)と
政治的圧力の両面からの締め付けを始めた。
これが1990年代以降。
それ以降、先進国と途上国の間で、攻防戦が続いているが、
今はまだ、途上国でジェネリック薬が自由に出回るのは難しい。
ここにも、「命の格差」が明確に存在する・・・