森がよみがえることを願って・・・

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楽しみにしていた、C.W.ニコル氏と、アルピニストの野口健さんの
講演会と対談。
思っていた通り、充実した内容でした

エベレストは年間1000人もの登山者が亡くなる山です。
目の前にある「頂上」を目指すだけで精一杯。
7000Mを超えると酸素が薄くなり、嘔吐を繰り返し、
まわりのゴミに目をやる余裕なんてありません。
しかし野口さんと同じ隊の、ヨーロッパ人は、ゴミを拾いながら
登ってたそうです。しかも、日本語で書かれたゴミが多い!
「エベレストを、Mt富士のようにするのかっ」と、
その当時、よく言われたそうです。
それがきっかけで野口さんは、エベレストのゴミ拾いを始めました。

環境保護団体の人たちに、
「環境保護は、何のためにするのですか?」と聞くと、
返ってくる答えは、十中八九、
「地球のためです」と。
しかし、本当に地球のためだと言うのなら、
一番地球を汚している人間をこの世から抹消することが
手っ取り早いのではないだろうか?
環境を守るのは、私たちが自然と共存しながら、
快適な生活を送るため。
自分たちの子孫に、良い環境を残すため。

環境問題に取り組んでる人は、
頭でっかちになってしまって、バランスの取れてない人が、
中にはいるそうです。
例えば、白神山地を昔から守っている「またぎ」。
またぎとは、東北地方を中心に、残る習俗で、
農閑期の冬などに山に入り、熊やウサギなどをしとめて
食料とする習俗や狩人のことです。

またぎは、闇雲に狩猟をしてるわけでなく、狩猟の期間を決め、
しとめた動物の数を数え、場所を移動し、きちんと計算をしています。
そして同じ要領で山菜採りもしています。
山を神と恐れ、自然を敬うその姿勢に、学ぶところはたくさんあります。
しかし!
環境団体が、「熊を殺すのは残酷なこと!」と言い出し、
またぎは今年から、白神で狩猟ができなくなってしまったのです

白神山地は、「ブナの原生林」が残る珍しい場所です。
ブナの巨木には、8トンの水が溜まるといわれており、
「水の神様」と言われています。
しかし、ブナは漢字で「橅」。
「木」「無」と書くように、日本では昔から「価値のない木」として
扱われてきたわけです。
そんな中でも、またぎたちは敬意を払い、守り続けてきました。
にもかかわらず、
白神山地が世界遺産に登録されるや否や、
急に環境団体が保護し始め、挙句の果てに、
またぎを追い出してしまったわけです。

環境の専門家たちは、地球の未来に対して
絶望的なことを言う人が多いそうです。
確かに、データだけ見ると、絶望的なんでしょう。
でも、あきらめたら終わりなんです。

日本には国立公園が27箇所あります。
しかし日本のレンジャーは、たった125人!
レンジャーとは、国立公園を監視する人のことです。
例えば・・・
カナダのレンジャー→4000人
ケニヤのレンジャー→3000人
アメリカのレンジャー→9000人
イギリスのレンジャー→1000人
タイのレンジャー→1000人

ちなみにニコル氏がケニアの国立公園長だったとき、
20人のレンジャーと160人のアシスタントを抱えていたそうです。
日本の規模だと、1000人くらいいないと、やっていけません。
環境系の分野では、
「ネクタイをしめてる人は多くなったけど、森に関わる人は少ない」と。
しかし、みんな、興味がないわけじゃあないんです。
レンジャーになりたい人はたくさんいる。
環境省だって、やりたがっている。
しかし、お金が無いんです。
レンジャーだけでは食べていけないのです。
国に任せるだけでなく、自治体が積極的に守っていかなければ
ならないと思う。
例えば、富士山なら「山梨」とか、白神なら「青森と秋田」とか。
国からお金を捻出するとすれば、税金の無駄遣いを辞めることです。
日本は環境保護にかけるお金が少なすぎると言われてるように、
カナダは日本の400倍の税金を、環境保護に投入しています。
人口は日本の1/5なのに・・・

レンジャーが何処まで権限を持つか、という問題が
起こると思われますが、
アフリカの場合、密猟者が銃を持って、たくさんやって来るので、
「撃って殺してOK」だそうです。
じゃないと、レンジャーが殺されてしまいます。
ちなみに、ニコル氏がケニアの国立公園長を務めてたとき、
2年間で203人を逮捕。
部下の中には、密猟者を射殺した人もいるそうです。

イギリスの場合は、
見つけて、注意して、警察に突き出す。
日本のレンジャーも、このくらいの取締りができれば
いいのではないでしょうか。
日本の場合は、密猟ではなくて、不法投棄ですからね。

ニコル氏と野口健さんが環境省のミーティングに出席すると、
官僚的でお役所仕事しかしないため、イライラするそうです。
まったく危機感が感じられない。
それは、現場を知らないからでしょう。

埼玉県で地域住民が川にたまったヘドロを除去する作業をしたときのこと。
竹炭の吸着力はとても大きく、小ぶりのバナナ一本分の丸炭でも、
その表面積は東京ドーム(13000㎡)がすっぽり収まってしまう
くらいだそうです。
そんなちっちゃな竹炭に、もの凄く広い表面積と吸着力があり、
その竹炭を髪の毛のように細くし、藻のようにして
川底に敷き詰めると、ヘドロがどんどん吸着していきます。
そこに微生物も寄って来て、すなわち「ビオトープ」が
できたわけです
ビオトープとは↓↓
http://www.tiara.cc/~germany/index_biotope.html
そしてそのことを知った埼玉県が動き始めたそうです。

環境大臣の小池さんも今年、野口さんと一緒に、
富士山の清掃活動を行うそうですよ。

市民が動けば、上を動かせるってことです。
現場でリアリティを感じること。
そして、あきらめないこと。
どの活動についても言えることですが、
大切なことですよね。

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クマのストラップ。
売り上げの一部は、ニコル氏が運営する、
アファンの森財団
「ツキノワグマ生息調査支援費用」に使われます。
熊って怖がられる存在ですが、
熊がいる森は、「美しい森」なんですよ。

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