男子中学生の課外授業が新宿の路上訪問。アテンドの1人として参加し、路上生活者について学生さんを通じて感じたことをまとめてみました。

イマドキの学生の課外授業

区立K中学校2年生男子生徒6人・保護者2人と、路上のおじさんたちを訪問をしてきました。学校が提示した約10団体の中から生徒たちに選ばせて、事前学習もして、課外授業で学んだことは文化祭で発表するんですって!しかも、保護者も参加OKなんて、素敵過ぎます!!

そして今回8名の方に選んでいただいた『つながるねっと』。私たちが、路上生活者を訪ねる活動をする団体を立ち上げて早1年。東京ボランティア・市民活動センター経由で、学校の課外授業の1つとして選んでいただけるのは、とてもありがたいです。今日学生さんたちをアテンドしたのは私を含めて4名のボランティアです。

学生が抱く、「ボランティア」「路上生活者」のイメージは?

最初の2時間は飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターで講義。最初、6人の男子たちはボランティアを色で例えると「白、緑、黄色etc」とイメージしてて、講義のあとには「黄色、オレンジ、緑、赤etc」暖色系が増えたかなー、って感じ。「ボランティアって、責任感を持って、ちゃんとやらやなきゃ!」と思ったみたいです。ちなみに、私が抱くボランティアのイメージは、ピンクです。わくわく楽しいイメージかな☆

それと、路上生活者のイメージを聞いてみると「痩せてる、髭、傘(←これ、確かに!!よく見てるなあ~)、高齢者、男性、怒られそう、怖そう、家族がいない、孤独、後悔してそう、仕事で失敗、自ら仕事を辞めた人、お金がない、食べ物がない」でした。不思議なことに「汚い、臭い」というイメージが1つもなかったです。びっくり!

6人の男子生徒は事前に質問事項を考えてきてくれて、それを路上のおじさんたちに聞いてみることに。私たち『つながるねっと』のメンバーはその内容を前もって確認して、それから実際に新宿の都庁下に移動しました。

実際に路上生活者と会ってみて

とはいえ、、、路上生活の方々は昼間は仕事をしてるからあまりいないんです。しかも、様々な事情で他者と話をするのを嫌がる方もいるので、なかなか話をしてくださる方が見つかりません。

「話しても良いよ!」と引き受けてくださったのは、路上生活10年になるYさん。男子6人に自分のノートを渡して、彼らに名前と質問を書かせて、「後で読み返すんだよ~」と丁寧に対応してくださり、感謝感謝です!男子6人はYさんのまわりにスッと集まり、誰からともなく地べたに体育座りをして、話を聞こうとする姿勢がバッチリ☆

質問の内容は、「いつから、なぜ、路上で生活しているの?」「嬉しかったことは?」「悲しかったことは?」「毎日どんなふうにして過ごしてるの?」「宝くじが当たったら?」

最後の「宝くじが当たったら~」の質問は、Yさんも「えっ!?」ってビックリしてたけど、「宝くじは、当たっても住民票がないと換金できないんだよ」って。へ~~そうなんだ!!!初めて知りました!

Yさんも気さくで優しい方なので、「部活何やってるんだ?」「趣味は何だ?」「将来の夢は?」と、会話を弾ませてくれたんです。最後には「記念撮影しよう!」って!!!私たち4人はビックリです(゜Д゜)

小1時間ほど話をしてから、みんなで今日の振り返りをしました。男子6人に今日の感想を聞くと、「自分たちと同じ、普通の方だった。明るくて話が楽しかった。」って。←もちろん、そういう方を選んだんだけどね(笑)今日感じたことをこれで終わりにしないで、自分に引き寄せて考えてもらえたらなあ~と、思います(*⌒▽⌒*)

今日、印象的だった事柄を紹介

今日の課外授業を通して印象に残った事柄を備忘録的にご紹介します。

“ホームレス”とは、ただ家がないことだけではない

『つながるねっと』は新宿駅周辺で、路上で生活する方々をひとりひとり訪ね歩くボランティアグループです。モノを渡すわけではなく、無理くり福祉につなげるわけでもなく、毎週訪ねて話をして、もちろん相手が話をしたくない時は遠くから見守って、ただ、それだけです。
Facebookページでは、普段の訪問活動の様子を伝えています。

「つながるねっと」の聖子さんが今日、学生さんに話していたのが、「“ホームレス”は、ただ家がなくて外で生活をしている人のことではなくて、家があっても孤独で家族とのつながりがない人。故郷がない人。そんな方も“ホームレス”だと思う。」と言っていて、私もその通りだと思いました。

なので、わざわざ夜に新宿や渋谷に出て、路上生活をしている方々を訪問することが大切なのではなくて、自分たちの地元にいて地元とつながっていない方たちに目を向けること。自分ちの隣に誰が住んでいるのかを知ること。そういうことが大事なんだと思います。

東京都が発表している路上生活者の数は正しいの?数字のマジック

6人の男子学生が事前学習で、都内にいる路上生活者の人数を調べてきたんです。しかしその人数が、現実とかけはなれてるんですよね~

そこで私たちは、数字のマジック(!?)について話をしたんです。そこで登場したのが「ARCH」。ARCHとは東京工業大学主宰で「ストリートカウント」を行っているグループのことです。年に2回開催していて今年で2年目。東京都が公式に発表している路上生活者の人数って、昼間にカウントしているものなので実際の人数よりかなり少ないんです。だって、おじさんたちは昼間働いて、夜に寝床に戻って来るんですもん。だから、夜中にカウントしなきゃ意味がない。ということで夜中のストリートカウントを始めたのがARCHなのです。

きっかけは2020年の東京オリンピック。都市部にたくさんいる路上生活者の方々を、どうするつもりなのか?まさか、追い出すわけにはいかないでしょう。実は2000年のシドニーオリンピックの時にもオーストラリアで同じような問題が起き、その時オーストラリア政府は「路上で寝ている人、生活している人を追い出さない」としたそうです。日本でも3年後のオリンピックを契機として、政府に対して「新しい街づくり」を提案し、「市民が市民を見守る」という流れになって行けたらいいなあ~と思います。

路上生活者に対する国の救済措置はあるの?

そんな質問が生徒さんからありました。
2009年から2010年に派遣村が設営された時、東京都は全員に一律2万円を支給したことがあったけど、様々な問題が噴出して、結局それ1回で終了。

その他、東京都と23区共同の路上生活者対策事業というのがあります。まあ、これもいろいろと問題があって、路上生活者は23区のアパートに振り分けられるのですが、長くすんでいた場所を離れることになり、ただでさえ人間関係の構築が困難な方々が初めての土地で初めて会う人々に馴染めるわけがなく、結局アパートを飛び出して元いた路上に戻ってきてしまう。そのアパートも、2年契約で更新がないんです。いわゆる定期借家ってやつです。そのあと、どうするの!?って感じですよね~・・・また、「仕事のサポートもする」という触れ込みだけど、充分なサポートがない。で、結局路上に・・・等々

ダンボールの家が減ったような気がするけど・・・

保護者の方からそんな質問がありました。東京都は「ホームレスは減少した」と報告していますが、実際は見えにくくなっているだけかもしれません。

というのも、ダンボールを燃やす・壊す・盗むというトラブルが起きたことで、おじさんたちはダンボールを持って移動したり隠したり、何かあったらすぐに動けるように簡素化したりしています。なので、誰もが分かるいわゆる「ホームレス」という格好をしていないケースが多くなったため、一見減ったような錯覚に陥るかもしれません。

彼ら6人はしっかりとした学生さんでした

路上生活者は、急にいきなり外で暮らしたくなったわけではなく、小さい頃からの生育環境が大きく影響しているわけです。なので、路上生活者に寄り添いつつも、これから生まれてくる子どもたち、今の子どもたちにも目を向けることが大切だと思っています。

今日とてもビックリしたのが、男子学生6人全員がお弁当箱にお弁当と水筒を持参してきたということ。午前10:00~14:30までの課外授業で、親御さんはちゃんとお弁当を準備してくれたんですよね。聞くとみんな、野球やサッカーや水泳等々の部活動をやってるんだって。「ゲームはやらない」という子がいて、これにもビックリしましたよ!

でもね、いろんな活動をしていると、親にお弁当を作ってもらえない子、お弁当を知らない子って、たくさんいるんです。そういう子たちを見ていると、お弁当と水筒をしっかり持ってこれる子たちが新鮮に映ります。良く考えたら、私だって高校卒業するまで母に毎日お弁当を作ってもらっていました。それって、当たり前のことじゃないんだよね。当たり前のことじゃないのに、普通にできちゃう親子関係って良いなあ~と、改めて思いました。彼らには、そういうこと知ってもらいたいね。

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