クジラの島の少女

3月18日まで、東京国立博物館で、
マーオリ 楽園の神々という特別展が開催されています。
日本に初めて、ニュージーランドのマーオリ美術が上陸

マーオリとは、ニュージーランドの先住民族で、
1000年前に、先祖の勇者・パイケアは、クジラに乗ってハワイキから
ニュージーランドにやってきたと言われています。

クジラの島の少女」は、映画のタイトル。
2/12まで博物館の1階で、上映が行われていました
族長の家系に生まれた少女パイケアと、
伝統を重んじる祖父・コロを軸に、
2人を取り巻く、家族やコミュニティー、
そして「伝統とは何か?」と、問いかけるストーリーです。

見所は、マーオリ伝統の迫力あるハカ
クジラの雄大さ、海と空の青さ、そして主演の少女の無垢な美しさ

マーオリ族は、勇猛な戦士の一族と言われています。
というのもオランダ人がニュージーランドを発見してから、
欧米人の流入が増え続け、マーオリ族は、白人と戦争を繰り返します。
そして戦いが島中で日常化します。
つまり、マーオリは闘わざるを得ない民族だったわけです。

現在、純潔なマオリ人はいないらしく、白人との混血です。
そして、白人と同じコミュニティで暮らしていますが、
都市部のスラムに住んでいる人たちも多く、高い失業率、教育の低さ、
貧困問題なども社会問題が存在します。

そんな中、去年、
オーストラリアで行われた人類遺伝学国際会議である科学者が、
「マーオリ族は、暴力的で犯罪行動を起こしやすいとする「戦士」遺伝子がある」
という論文を発表したそうです
そして、「アルコール中毒に陥りやすく、犯罪を起しやすい」と。
本当に、暴力が遺伝子と結びつけて考えられるのでしょうか?
それには、育った環境や教育、社会背景などとも密接な関係があると思うので、
一概には言えないのではないでしょうか?
もし、科学的にそんな遺伝子が発見されたとしても、
それは個人レベルの問題であって、
人種の問題で、ないのでは・・・?
実際、純粋なマーオリは存在せず、白人との混血なのに、
正確なデーターが得られるのでしょうか?
「戦士の遺伝子は、欧米人の方が少ない」と発表したそうですが、
欧米にもさまざまな民族がいて、当然混血を繰り返しています。
そんな状況で正確な調査が行えるものなのでしょうか?
「欧米人」と、一緒くたにして調査をして、いいものなのでしょうか?

この発見をしたところで、ただ発表するだけでは、
人種差別を含め、問題を生み出すと思います
この発見によって、何かの問題が解決できるとか、
この調査結果を、前向きにいい方向に活用していくとか、
そういうことまで話していただけるのであれば、いいのですがね。

なので、
マーオリの芸術や映画を観ることで、
彼らの姿に少しでも触れてもらえたら・・・と思います。
「マーオリって本当に怖い人たちなの?」
という疑問に対する答えが見つかると思います。

クジラの島の少女

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