東京の東村山市にある多磨全生園。
その一角に、ハンセン病資料館があります。
2階建ての建物の2階部分、ワンフロアに資料が展示されています。
モノクロの写真パネル、治療薬、患者の生活の様子、世界におけるハンセン病の状況など、見所はたくさんあります。
ハンセン病は、遺伝ではありませんし、感染力の弱い疾患です。
きちんと治療をすれば軽快し、治癒することができます。
ハンセン病が「恐ろしい病気」と思われるのは、顔面や手足に変形が
残り、昔は「不治の病」と言われていたからだと思います。
発見が遅かったり、十分な治療が行われなかったら、変形を残すことが
ありますが、治癒していれば感染することはありません。
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資料館までの行き方はいくつかあります。
私は武蔵野線・新秋津駅からバスに乗り、全生園前で降り、資料館まで歩きました。
全生園の敷地の中に入ると、「全生園の隠れた史跡」案内板設置場所があり、
それをよく見てみると、敷地の広大さにびっくり!
私は、普通の老人ホームのようなところを想像していたのです。
資料館のだいたいの位置を覚えて歩くと、親切にも、資料館までの道案内の板が
きちんと立っていました。
園の中心に入ると、さらにびっくり!
平屋の建物が何棟も建っており、
ショッピングセンターや郵便局、ATMもあります。
そして道路には一般道のような白線が引いてあるんです。
「そっか、外にでなくても、ここの中で生活ができるようになっているんだ・・・」
緑に溢れた、のどかな園の中をゆっくり散歩することができました。
一度作られた偏見や差別を取り除くのは、かなりの時間がかかると思います。
ハンセン病のことをきちんと理解している人はどのくらいいるのだろう?
そもそも、最近の若い人は、ハンセン病を知らないのではないだろうか?
つい数年前、熊本の温泉旅館が、ハンセン病元患者の宿泊を
堂々と拒否したという出来事があった。
その後、総支配人が謝罪したが本社の責任を明確にしなかったため
元患者はその謝罪を拒否。
その様子がテレビで流れてから、全国でバッシングが起こった。
「本当に恐ろしいのは、らい菌じゃない。偏見や差別なんだ。」と
強く思った出来事だった。
ハンセン病患者は高齢化しており、園の中だけで事足りるのであれば、
わざわざ外に出る人はあまりいないのではないだろうか?
周囲から向けられる視線を考えたら、敢えて外出しようと思う人たちは
あまりいないのかもしれない。
資料館に行くときは、是非、全生園の中も歩いてみてください。
今でもここで生活している人たちがいます。