スーダン難民とチャド住民による環境保全活動

環境保全活動を行っているNGO「緑のサヘル」主催の
報告会が行われた。

北アフリカに位置するスーダン
アフリカ中央部に位置するチャドは、隣同士である。

チャド国境付近のスーダン・ダルフール地方で
キリスト教系黒人とイスラム系アラブ人との間で紛争が起き、
20万人もの難民が国境を越えてチャドに押し寄せたとき、
環境にも悪影響が出始めたという。

なぜ、スーダンで内戦が起きているかについては、
コチラを参照してください。

チャドに化石燃料はなく、木は調理用燃料として
とても大切な資源である。
しかし、難民キャンプ周辺では生木を伐採して使用しているため、
今では土地が「丸裸」な状態だ。
一気に人口が20万人も増加したのだから、
森林伐採の勢いは、すさまじかったにちがいない。
「木が減少する」と「燃料が減少する」ということであり、
生活が圧迫されるため、燃料(木)の節約が重要になってくる。

①難民と地域住民と緑のサヘルで協力し合い、苗木を生産して植林を行う。
 今まで約5万本が某地域で配布された。
 苗木を換金しないように、植えたらWFPから食糧支援を
 受けられるようになっている。

 1年間で2万本のユーカリの木が伐採されている。
 ユーカリが成長するのに3年かかる。
 このペースで植林していくと、伐採される方が多く、
 植林が追いつかない状態である。

②薪の消費を抑えるために、いくつかの難民キャンプでは、
 改良かまどの普及活動を行っている。
 粘土製と金属製の2種類が作られ、使われている。
 **粘土製・・・熱効率40%
      しかし、使いやすく主食を作るのに最適。
 **金属製・・・熱効率80%
      しかし、資金がかかる。ソース類を作るのに最適。

 どちらにもメリット・デメリットがあり、用途によって使い分けている。
 しかし、改良かまどの普及はまだまだである。
 なぜなら、この改良かまどの普及を行っているキャンプでは以前、
 UNHCRの支援が入っていたが急遽撤退してしまい、
 そのことでキャンプに暮らす難民たちは、支援に対する不信感があり、
 緑のサヘルの活動がなかなか受け入れてもらえないという。

活動を進める上での障害はいくつか存在する。
その一つが、「難民が、活動に対する対価を要求してくる」ことだ。
難民はスーダンから逃れてきているだけで、一生チャドで暮らすわけではない。
そのため、チャドの環境保全には関心がない。
また、お金や物品がないので、
「活動した分、お金か物をくれ」と要求してくる。

「難民の緊急支援」というと、
医療とか食料をすぐ考えると思うが、それだけではない。
「人口増加」という人工圧力がかかり、早いスピードで環境破壊が進んでいく。

代替エネルギーの実用化が困難な状況下で、
難民、地域住民と協力しあい、できることを一つ一つ実行していくしかないだろう。
気の遠くなるような、地道な活動だが、
それでも諦めずに続けていくしかない。
 

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