ルワンダ・ウガンダの子ども兵士の比較

ACEAJF共催の
「子ども兵士報告会」に行ってきました。
報告者は、ARCの方です。

世界には、約30万人の子ども兵士がいると言われています。
子ども兵士の定義は、
18歳未満の子どもで、家族ではないグループと行動し、
前線の兵役につかされるだけでなく、スパイやポーター、
性的搾取や強制結婚させられた子どもたちのことです。
つまり、何らかの形で戦争に加わる子ども全員を指します。

今回の報告は、
ルワンダウガンダの子ども兵士」についてです。

ルワンダとウガンダは、国名が似ている上、隣接しています。
ルワンダはベルギーの植民地、ウガンダはイギリスの植民地でした。
どちらも内戦に苦しんでいた(苦しんでいる)国ですが、
子ども兵士が生まれた背景は、微妙に異なります。

それにはそれぞれの内戦の背景を知る必要があります。
簡単に述べると、
ルワンダ・・・政権を握っていた少数派のツチ族が、多数派のフツ族に虐殺され
       ます。
       ツチ族は北のウガンダに逃げ、ウガンダ軍はツチ族を支援し、
       ツチ族はルワンダに舞い戻り、フツ族を追い出します。
       そしてフツ族は西のコンゴ民主共和国に逃げ、内戦がコンゴにも
       飛び火します。
ウガンダ・・・イギリスの植民地政策により、北の軍事、南の金融経済と、
       分断されます。
       暴力によって政治権力を得る体質が長年続き、常にクーデターが
       繰り返されています。
       民族ごとに線引きをすることで偏見をゆるぎないものにし、
       内戦が長期化しています。  

そして、それぞれの国で子ども兵士が生まれた背景ですが、

ルワンダ・・・ルワンダの子ども兵士のほとんどが、コンゴ民主共和国で
       子ども兵士になった子どもたちです。
ウガンダ・・・20年以上続く内戦の中で生まれた子ども兵士となります。

子ども兵士が社会復帰するのに必要な過程があります。

ルワンダは、DDRRRと言い、
D・・・武装解除
D・・・動員解除
R・・・本国への復帰
R・・・リハビリテーション
R・・・社会復帰
コンゴにて武装解除、動員解除をします。
武装解除の儀式は、まっさらな軍服を着せて、銃を下に置いてさがらせる。
これだけです。
そして動員解除の儀式は、主にユニセフが関わるのですが、
普通の服に着替えさせて教科書を渡します。
「あなたたちに必要なのは、銃ではなく教科書です。」ということを表しています。

一方ウガンダは、DDR(武装解除、動員解除、本国への復帰)のみ。

両者の大きな違いは、政府が国家プロジェクトとして行っているかどうか、
ということです。
ルワンダは、ワールドバンクの支援により、国がDDRRRを行っています。
お金があるので、社会復帰した子どもたちのモニタリングをしっかり行えます。
それが、子どもたちの再軍備を防いでいます。
家族を探すのに、国際赤十字が関わり、社会復帰時には政府は一人当たり$200と
リービングキットを渡します。
キットの中身は、鍋・コップ・皿・鍬の先・蚊帳・毛布です。
そして、学校に行くか職業訓練をするか選択できます。
(キットは、ウガンダの子どもたちももらっています)
そして、地域の長老たちと話し合いを行い、子どもたちが受け入れてもらえる体制を
きちんと作ってから帰します。

それぞれの、社会復帰の問題点ですが、

ルワンダ・・・政府が関わっており、お金のあるプロジェクトなので、一見上手く
       行ってそうに見えますが、「家族捜索」メインのプログラムなので、
       子どもたちが社会復帰できないのです。
       何故なら、ルワンダ紛争の性質上、この国の子ども兵士はコンゴから
       来ているので、家族がいないルワンダで家族を探しても、戻れる家が
       ないのです。
       そして少女兵士たちは、できるだけ波風立てないで社会復帰する
       ことを望んでいるので、社会復帰施設には集まりません。
       そのために少女たちの復帰がなかなか進まずにいます。
       これから、コンゴから約3万人が戻ってくると言われている中、
       小国ルワンダでは、子ども兵士1000人を受け入れるのも
       厳しくなってきます。
ウガンダ・・・コミュニティーからの拒絶が多いです。
       何故なら、現地の人たちにしてみれば、彼らは「加害者」です。
       ゲリラと一緒に村や部族を襲っているからです。
       そして、信仰心の篤いこの国では、「子どもを抱えている少女」
       「性的虐待を受けた少女」は、なかなか受け入れてもらえません。
       それらの理由から子どもたちは、同じ境遇の仲間がいるゲリラに
       戻ることを望み、再軍備することもあります。
       そして長年の紛争により、社会全体が、大人たちが傷ついており、
       子どもたちを受け入れる余裕がないのも事実です。

私たちが彼らにできることは、まず子ども兵士に関心を寄せることだと思います。
そして、そのことを身近な人に話すこと。子ども兵士の社会復帰を支援している
NGOに関わるのもいいと思います。
できること・方法は、一人一人違うけれど、
「このまま無関心でいいわけがない。何かできることはないだろうか。」と
思わずにはいられません。

スポンサーリンク


スポンサーリンク