次から次へと慢性疾患患者~
アルビルのダウンタウンであるカラァの側にクリスチャンの方が経営しているビルがあり、ビルの上の階に多くのIDPの方々が生活をしています。
ここからの眺めは良く、開放的で明るく換気も良いので、前回訪問したアシュティ108やアインカワモールの難民キャンプよりも生活環境は比較的良いと感じました。
2人の日本人医師が診察をしながら、薬剤の供給についてキャンプの医師たちとディスカッション〜診察を希望している方々は心疾患や脳血管障害など慢性疾患の方ばかりでした。
ここには薬剤がなく、薬局があるクリニックに行く交通費がなかったり、体調が悪くて行けなかったりで慢性疾患の治療が中断されていました。こういう患者さんにモバイルクリニックは有効なのですが、どのようにまわしていくか〜が、課題になると思います。
プロジェクトの概要
プロジェクトの実施団体→日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)
活動地→イラク共和国アルビル県アルビル市アインカワ地区
実施期間→2015年2月~7月
背景
イラク国内では、去年の夏から激化したダーイシュ(IS)の迫害によって、ニナワ県モスル等からクルド自治区に約85万人の方々が逃れてきています。彼らは建設中の建物や空き家、学校、広場そして宗教施設等で生活をしています。その内、約5万人のクリスチャンは、クルド自治区のアインカワ地区(クリスチャンの地区)で暮らしています。
そんな中、同じ国内避難民でありクリスチャンの医師らが、マルチムーニ教会にクリニックを設け、診療活動を行っています。去年の7月から1日約500人近くを診察しているクリニックでは、9月から薬品購入の資金が足りず、医療設備も不十分なため、慢性疾患を抱える方々の継続した治療が困難な状況にあります。
JCFが2009年から行ってきたサポートしてきたイラクの小児科医であるリカァ・アルカザイル医師が、去年の7月にご家族とともに長野県松本市に避難してきました。リカァ医師の友人であり親戚でもある小児科医のナガム医師がマルチシムーニ協会のクリニックの立ち上げと継続した運営に関わっているため、今回JCFがクリニックのサポートを実施することになりました。
事業内容
1.初期診療における投薬指導
2.カルテ作成と管理スタッフの育成
3.医療チームの派遣による医療体制構築支援
IDPとは
国内避難民のこと。「難民」とは異なり、自分の国の中で避難している人々をさします。