先日行われた、AJF主催の勉強会で、
ガーナ出身の大学院講師であるアジマンさんを招き、
「ガーナの乾燥地域緑化について」の話がありました。
ガーナと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
チョコレート?サッカー?
ガーナは、西アフリカに位置する国で、
野口英世博士が黄熱病で亡くなった国です。
そのつながりで、野口博士の故郷である福島県の医師たちが
現在でもガーナに派遣されているそうです。
さて、バイオマスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
恥ずかしながら私は、バイオマスについてよく知りませんでした
バイオマスとは、生物資源のことですが、
詳細については、私がここに書くよりも、以下のサイトを見ていただいた方が
早く理解していただけると思います。
1、http://www.biomassml.com/whatisbiomass.html
2、http://www.kanto.maff.go.jp/biomass/q&a.htm
まず、バイオマスボードを作るには、
原材料を細かく粉砕し、専用の機械でプレスして、四角形のボードを作ります。
木材資材用のプレス方法では固すぎるので、
ある程度弾力・柔らか味を持たせるそうです。
ボードに適する原材料は、
おがくず・・・杉、檜、カラマツ、ゴム、白樺、ケヤキ
農産廃棄物・・・イナワラ、モミガラ、コーン茎、コーン穂軸
雑草・・・セイタカアワダチソウ上部及び下部、カナシナ、ススキ
愛知万博でも、このバイオマスボードが試用されました。
1、クッション性が良く、歩行者に優しい。転んでも怪我をしにくい。
2、段差がなく、ベビーカーや車椅子での走行が可能。
3、水はけが良い。
などの利点が挙げられます。
そのおかげで、
「愛・地球賞」で、「世界環境技術100選」を受賞しました。
また、ソバの初期成育時にバイオマスボードを置いたものと、
置かないものとで、生育の具合を比べてみると、
ボードを置いたソバの方が、よく生育したそうです。
さて、アジマンさんはどうしてそのバイオマスボードを研究し、
ガーナで使用することを考えているのでしょうか?
まず、ガーナの環境を知る必要があると思います。
世界中では、砂漠化が進んでいますが、ガーナもその一つです。
サバンナが拡大し、そのサバンナ地帯の土壌浸食も進んでいます。
現在アフリカでは、雨風による侵食を防ぐために
フェンスを設置していますが、それでは対応しきれません。
ではなぜ、土壌浸食が進んでいるか、ということですが、
1、機器の発達
昔は木を伐採するときに斧を使っており、1本の木を伐採するのに
3週間かかっていました。
しかし現在、チェーンソーを使用するために、一人で12~13本/日も
伐採するのです。
2、人口増加
昔は人口も多くなく、木を伐採するのはマキとして使用するときのみ。
今では、売買するために木を伐採しています。
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↓
森林が減少したことで、土壌が風雨に耐えられず、一気に土が流される
(土壌浸食)ようになった。
折角植林をしても、多少成長したところで、マキとして伐採されるか
枯れてしまうので、5~6年もてばいい方。
乾燥地帯での旱魃が激しいため、家畜にまで影響を及ぼしています。
そのため、アジマンさんはガーナ緑化のためにバイオマスボードを
使用することを提案しています。
ボードのメリットは、
1、除草効果
2、土地微生物の活性
3、土壌流出を防ぐ
4、土壌水分の蒸発を防ぐ・保水効果
5、養分を補給する
ボードに肥料(窒素)を加えることで、土地を肥沃させることも
可能との事。
ボードを一度ひいたら、時間がたつと自然に還るため、
何もしなくていいそうです。
問題点もいくつか存在します。
それは、先進国の企業に入ってもらわないと、難しいとの事。
現在、ガーナでは水力発電を使用していますが、
毎日停電を起こしているため、今のこの状況を改善する必要があります。
そして、現地住民の理解を得なければ継続することはできません。
1、木材の売買の禁止
2、地域住民との話し合い・協力
3、森林に入らなくてもいい仕事の提供
先進国の企業が技術提供・人材育成し、
彼らが自立してこのプロジェクトを進められるようになれば、
とっても素晴らしいと思います。
地球の砂漠化は、私たち日本人も真剣に考えなければならない問題です。
もし、このアジマンさんの計画に協力できそうな方がいましたら、
是非、AJFに連絡をしてみてください。