東京地裁で行われた、
薬害イレッサの第九回口頭弁論。
イレッサとは肺癌の抗癌剤で、
副作用がなく、とても効果的な抗癌剤として
大々的に販売されていた薬品です。
しかし実際は肺炎の副作用で亡くなった人が
日本国内で634人もいるのです(現在まで)。
今回の口頭弁論での意見陳述書を見ると、
被告アストラゼネカ社(本社:イギリス)は、
以前から不当な販売戦略を行っていたようです。
私がこのブログの「ナイロビの蜂」のところで、
製薬会社と特許権について書いたのを覚えていらっしゃる
でしょうか?
→2006年7月14日
アストラゼネカ社は、60億円の利益があった大ヒット商品、
「プリロゼック」(胸焼け薬)の特許が切れる間近、
各国でコピー薬(ジェネリック薬)が出回るのを見越して、
ウソの情報を流したり、特許制度を悪用するなど問題を
引き起こしていました。
つまり、ジェネリック薬が市場に出回るのを妨害したり
遅延させるようなことを行い、世界各国で厳しい批判を受け、
欧州委員会から約120億円の罰金という、公的制裁も受けています。
アストラゼネカ社は、他の薬でもこのような反社会的なことを行っており、
アストラゼネカグループ全体が、こういう体質のようですね。
裁判の論点は、
①被告アストラゼネカ社は、イレッサに延命効果がないという治験結果を
得ていたにもかかわらず、それを隠蔽して、
最終報告を、承認後に引き伸ばした。
②最終報告が出てないのもかかわらず、承認してしまった厚生労働省の怠慢。
そして、600人以上の死者をだし、裁判になっているにも関わらず、
個人情報保護法を盾に、なかなか情報を公開しようとしない
アストラゼネカと国。
隠蔽体質は、人が何人犠牲になろうと、変わらないのでしょうか。