メモリアルイベント~チェルノブイリ原発事故から29年

「カノンだより」一部上映

松本市にある日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)では、毎年この時期にイベントを開催しています。

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今年は映画監督の鎌仲ひとみさんをお招きし、最新作「小さき声のカノン」に乗り切らなかった映像をまとめた「カノンだより」のほんの一部を上映することになりました。その後、鎌仲さんに「子どもたちをいかに被ばくから守るか」という話をしていただき、休憩を挟んでJCFの神谷事務局長から「イラク支援報告」をしました。

上映した「カノンだより」は15分程度。二本松市にある同朋幼稚園(真宗大谷派眞行寺)の佐々木るりさんが子どもたちを連れて滋賀県に保養をした時の映像でした。二本松では思いっきり子どもたちが外で遊ぶことができず、山菜を摘んで食べることもできず。今までの生活が一転してしまってどうして良いのか分からなくなった4年前の3月。

移住しなくても、放射線量の低いところで一定期間過ごせば内部被曝を減らせることができる。そうやって子どもたちを守ることができるんだよ。それを伝える映像でした。

鎌仲ひとみさん、語る

以下すべて、鎌仲さんの話から~。

鎌仲さんが「小さき声のカノン」を作ろうと思ったのは、「子どもたちを被ばくから守りたい」という強い想いからでした。映画の取材地でもあるベラルーシ共和国。ここでは2007年の撮影当時、10万人の子どもが保養に出かけており、うち5万人は国の予算で保養をしています。チェルノブイリ4号路炉が爆発をした時、3日以内に30キロ圏内に住む子どもたちは圏外に退去し、安定ヨウ素剤を飲んだ子どもたちもいました。

ロシア非常事態省は放射線量とその広がりを把握するために、早急に汚染地図を作成します。その結果、セシウム137は少量でも線量が高いことが判明しました。そして汚染は長く留まり拡散していきます。

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福島では現在、東北新幹線が通り、6号線の通行規制が解除されました。←ちなみに6号線は途中に毎時17.3マイクロシーベルトという線量の高い場所があります。政府は「通行時は窓を閉め切って」と呼びかけているそうです。また、修学旅行で福島に行く学校が増えています。これらは放射性物質を拡散することになるわけです。ちなみに、福島を訪問したベラルーシ共和国の某副大臣は高速道路を見て、「肺癌が増えますね」とボソッと言ったそうです。

約200万人いる福島の人口のうち、移住したのは約4万人と言われています。多くの方々は福島で暮らす決断をしたわけですが、除染作業をしたのは市街地だけであって、約70%の山林は手つかずのままなのです。

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そしてチェルノブイリ原発事故による小児甲状腺癌の増加は科学的に認められており、実際に現在の福島でも118人の小児甲状腺癌が見つかっています。うち手術した74%がすでに転移しているとのこと。チェルノブイリ原発事故との関係が認められている疾患は小児甲状腺癌だけですが、その他の癌や、癌以外の疾患も、証明するのは困難ですが、因果関係があるかもしれない。ちなみに福島で白血病はすでに出ていて、うち1名は亡くなったとのこと。

だから、生きて行くには保養が大事なんです

日本では現在、放射線管理区域に(4万Bq/㎡)に数百万人が普通に生活しています。このまま生活し続けることを選択するのであれば、無防備であってはならないと思います。

ベラルーシやウクライナとは違って、日本では国が保養の費用を負担しないため、多くの子どもたちが保養に行けずにいます。ご両親が自己負担でそして民間が企画運営をして、子どもたちの保養を細々と行っています。ベラルーシでは放射能汚染のない土地で24日以上暮らすと内部被曝が軽減すると言われています。放射線量の高い場所で暮らし続けるには、子どもたちを守るためにも保養が大事になるのです。

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