国立ヤラガド病院の一室
年間約1200人の女性がここを訪れ、
約20人が死亡すると言われています
この部屋は中絶をする場所。
またはヤミで中絶をした女性が後遺症に苦しみ、ここを訪れます
ブルキナファソでは中絶が法律で禁止されています
そのため多くの女性が、無免許医師のもとを訪れます。
この国では、未婚の女性が妊娠することは「=死」を意味し、
両親から家を追い出され、親戚からも無視され、
仕事も家もない女性が子どもを抱えて生きることは困難です
もちろん中にはめでたく結婚する人もいますが、
多くの女性は中絶するか、出産後に子どもを捨てて、
単身で実家に戻るしかありません
そして、捨てられた子どもの多くはHIVに感染しているのです。
ブルキナファソには孤児施設いくつか存在します
それらは、
地域の女性たちがボランティアで施設を運営しています。
しかし資金は潤沢ではなく、
電気がない、病院もない悪辣な環境で子どもたちは生活し、
女性たちが世話をしています
妊娠は女性が1人でするものではありませんよね
なのに、家を追い出されるのは女性。
中絶するのも女性。
出産後子どもを捨てなければならないのも女性。
捨てられた子どもたちを育てるのも女性。
そして、一番つらい思いをしているのは子どもたち。
男性の姿が見えてきません
ちょうど私が産婦人科で働いている間、
中絶する女性が1人いました
担当の助産師に「見る?」と言われ、私も立ち会うことに。
助産師の手元を見ながら、その女性の顔をそっとのぞき見ると、
時々痛みをこらえながら、あとはずっと天井を見つめていました
彼女はどんな思いでここに来たのだろう・・・
この部屋を訪れる女性が1人でも減りますように
にぎやかな産科病棟