カルテ管理&薬剤の管理~マルチシムー二教会クリニックでのIDPに対する医療支援

カルテ作成、はじめます~

クリニックの医師2名、薬剤師1名とミーティング。その中で、「紙カルテを作成する」ことの詳細を打ち合わせました。1人の医師は「電子カルテにしたい」と粘っていましたが、IDPの方々にとって電子カルテでの管理は非現実的です。カルテをクラウドで管理をして、IDPが今後どこに移動しても、医療従事者がその方の医療情報を把握することができるのであればそれも可能でしょう。しかし現状では難しいです。

また、紙カルテだとコストがかかることを気にしていたようですが、こちらのプロジェクト費で作成が可能なので、そこは納得して頂くことができました。

実際に昨日あったケースです。
隣のドホーク県で心臓のカテーテル治療をした男性が、「処置後も胸痛がある」と訴えてきました。しかし、カルテ一式はドホークの病院にあるため、現在どのような状況にあるのか把握することができません。幾つもの推論が成り立ち、結局は「大きい病院に行って検査して下さい」としか言えないわけです。その男性はIDPであり胸痛がある中で、3時間もかけてカルテを取りにドホークに行くことは困難です。

カルテは1人1冊のイメージでしたが、それだと紛失する可能性が高いし、5万人もいる難民分を作成するのは大変!とのこと。←私たちは大変じゃないんですけどね~。イラク人側はそう思うみたいです。

バクダッドには「ファミリーカード」というものがあり、1家族に1冊なのでなくしにくいし、コストも削減できるとのこと。「もし結婚等で別に暮らすようになったらカルテはどうするの?」と思いましたが、そしたらその時は、新しい家族に1冊配布するのでしょう~

薬剤師さんは、「カルテを持ってこなかったら診察しないわ(笑)」と言っていて(もちろん冗談です)、でもそのくらいの思いでいてくれるんだなあ~と思うとありがたいです。ナガム先生もカルテの導入に乗り気ですので、是非良い物を作りたいと思います(o^∀^o)

まずは、私がカルテを試作することにしました。画用紙を買ってきて、エクセルで罫線を引いた簡単なモノを糊で貼って~。こういうチマチマとした工作、好きなんです♥

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試作完成~~☆

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これをたたき台にしてもらって、修正を加えてから、実際にクリニックで導入していきます!

薬剤の管理、はじめます~

薬剤師のオルハンさんが、アナログですが確実にしっかりと、日々の在庫管理をしています。

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ですが、薬剤の管理がぐちゃ~~(=_=)

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狭いスペースに、普段使わない在庫分も一緒に置いてあるし、何と言ってもびっくりしたのが、「違う薬を同じ箱に入れている」ということΣ(゜д゜これ、まずいでしょ~!事故の元じゃん!!
そういうと、「でも狭いからスペースがないんだよね。」と。その後もいろいろと話をして、薬棚を買うことになりました。

処方箋に関しては、複写のものを導入する予定でした。そうすれば患者自身も処方内容を持ち歩けるので、移動した先でも医療従事者が把握出来ます。しかしそうすると、クリニック内で余計な手間が発生してしまいます。みんなで話し合った結果、複写にせずカルテに書き込むことにしました。

業務を簡素化し、働きやすい環境を整えることは、ひいては患者さんのためにもなります。今後も日本にいながらフォローしていく予定でいます。

プロジェクトの概要

プロジェクトの実施団体→日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)
活動地→イラク共和国アルビル県アルビル市アインカワ地区
実施期間→2015年2月~7月

背景

イラク国内では、去年の夏から激化したダーイシュ(IS)の迫害によって、ニナワ県モスル等からクルド自治区に約85万人の方々が逃れてきています。彼らは建設中の建物や空き家、学校、広場そして宗教施設等で生活をしています。その内、約5万人のクリスチャンは、クルド自治区のアインカワ地区(クリスチャンの地区)で暮らしています。

そんな中、同じ国内避難民でありクリスチャンの医師らが、マルチムーニ教会にクリニックを設け、診療活動を行っています。去年の7月から1日約500人近くを診察しているクリニックでは、9月から薬品購入の資金が足りず、医療設備も不十分なため、慢性疾患を抱える方々の継続した治療が困難な状況にあります。

JCFが2009年から行ってきたサポートしてきたイラクの小児科医であるリカァ・アルカザイル医師が、去年の7月にご家族とともに長野県松本市に避難してきました。リカァ医師の友人であり親戚でもある小児科医のナガム医師がマルチシムーニ協会のクリニックの立ち上げと継続した運営に関わっているため、今回JCFがクリニックのサポートを実施することになりました。

事業内容

1.初期診療における投薬指導
2.カルテ作成と管理スタッフの育成
3.医療チームの派遣による医療体制構築支援

IDPとは

国内避難民のこと。「難民」とは異なり、自分の国の中で避難している人々をさします。

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