国境なき医師団 NL2006年12月号

混乱の中の、新しい命

アフリカにあるスーダン。
スーダンのダルフール地方では、
2003年以来、紛争が続いており、
200万人を超える国内避難民、
20万人を超える難民を出しています。

現在、紛争が落ち着いたかのように見えますが、
それは表面的なこと。
実際は、今までの暴力、略奪、一家離散などで、
多くの人たちが心にキズを負ってるのです。
これらが妊婦さんやお母さんたちのストレスとなり、
妊娠中の異常、産後の肥立ちが悪い、
育児が上手くいかないなど、問題を引き起こしています。

これって、スーダンだけの問題ではないと思います。
私が関わっているイラクはもちろんのこと、
世界で起こっている紛争の中で、
新しい命はどんどん生まれているのです。
世の中がどんなに悪くなろうと、
頑張っている赤ちゃんとお母さんがいるのです。
私は同じ女性として、放ってはおけません。

エイズの危機

私はこのブログで何度か書いていますが、
HIV/AIDSは、死ぬ病気ではなくなっています。
高血圧や糖尿病のように、慢性疾患として、
きちんと薬を飲み続ければ、共存できる病気になっています。

しかし、それは先進国だけの話。
死なない病気になっているにも関わらず、
「薬がない」という理由で、
多くの人たちがAIDSで亡くなっています。
その多くが、アフリカの人たちです。

薬が手に入らない理由。
それは、
特許権がからんでいるので、治療薬が高すぎる
特に大きな、一番の問題は、小児の治療薬がないということ。
数が限られています。
なので、成人用の薬を砕いたり、割ったりしてるのですが、
この方法では、正確な量を与えることができません。

また、体重が10キロ未満の子どもには使用できません。
そんな場合、シロップ薬が有効なのですが、
計量が難しく、価格も高い(成人治療薬の6倍!!!)ので、
簡単に手に入るものではないのです。

そして今、新たな問題が持ち上がっています。
今まで国境なき医師団は、
特許権のかからない、インド製の安価な薬を使用していたのですが、
そのインド製の薬にも特許権が認められ、
薬の価格が上がる可能性があります。

また、今使用している治療薬が効かなくなってきている、
という問題も浮上しています。

製薬会社も国連も各国政府も、
自分たちの利益を優先させるのは、やめましょうよ。
人の命を最優先に考えることは、
上記の機関で働く人たちの、義務なのではないでしょうか。

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