国境なき医師団 NL84号

国境なき医師団 NL84号より

国境なき医師団(MSF)ではケニアのナイロビに
「ブルーハウス」という診療所をつくり、
エイズ治療を専門に行っています。

途上国では安価な抗レトロウィルス薬(ARV)が手に入るようになり、
多くの患者は希望をもって生きることができるようになりました。

しかし、これは成人の場合であって、
小児は、また違います。

小児のエイズ治療薬は(3歳くらいの場合)
シロップを一日2回、カプセルを一日1回、飲ませないといけません。
毎日のこの作業は一見簡単そうですが、
清潔な水が入りにくい途上国では至難のわざなのです。

そしてもう少し大きな子どもには、錠剤が処方されます。
成人量の錠剤が処方されるので、
母親はそれを正確に半分に割って、与えます。
その作業を毎日行わなければならず、
適切な量を与えなければ、治療は成功しません。

多くの子どもたちは、半分でもなかなか飲めないので、
それを粉末状にしてご飯と一緒に混ぜて与えるなど、
工夫が必要になります。

余談ですが、私が小児科の実習をした時言われたことですが、
「子どもたちに薬を上げるときは、決してご飯に混ぜないこと」
なぜなら、苦い薬をご飯に混ぜてしまったら、
今後子どもたちが、そのご飯を食べなくなる可能性があるからです。

途上国でも、そういう問題が生じるのではないでしょうか?
すると、他の工夫が必要になりますね。

成人患者の場合、多剤混合剤を一日2錠だけ飲めばいいので、
治療を継続するのも難しくはありません。
しかし小児の場合は全く事情が違います。
まず、小児患者に合わせた治療方法がありません。
なので、シロップや錠剤を子どもの成長に合わせて、
毎回毎回正確に測らないといけないのです。

現在、エイズの母子感染はとても多いです。
2歳の誕生日を迎えられず亡くなる子も多いのです。
成人のARV薬治療の拡大を進めていくと共に、
母子感染予防法、小児治療の拡大に真剣に
取り組まなければならないのだと思います。

国境なき医師団のサイトはコチラから。

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