去年デンマークで、
ムハンマドの風刺画が問題になり、
中東のデンマーク大使館が焼き討ちにあう事態にまで陥りました。
デモの多くは平和的なものだったのですが、
一部の過激派が、民衆の怒りを政治的に利用したと
言われています。
その前に・・・
ムハンマドの風刺画が、なぜムスリム(イスラム教徒)の
反感をかったか、についてですが、
イスラム教は偶像崇拝を禁止しているので、
預言者ムハンマドを描いてはいけないということ。
そして描かれた風刺画の中に、
「ムスリム=テロリスト」を連想させるものがあった、
ためです。
今までデンマークは労働力確保のため、
積極的にムスリムの難民や移民を受け入れてきたけれど、
それがデンマーク市民たちのストレス・不満につながり、
そしてムスリムに対する不信感とあいまって、
ああいう形で爆発したのだと思われます。
去年新聞に載っていたデーターですが、
欧州各国のイスラム人口の比率です。
①フランス 7.1%
②オランダ 5.5%
③ドイツ 4.4%・・・
と、続きます。
「表現の自由」や「政教分離」など、
イスラムとは異なる価値観の中で、
どのように折り合いをつけて生活していくのか?
フランスでは、
「欧州社会に適応し、教義的にも正しい、
イスラム教を教えることができる宗教指導者」
を養成する学校ができており、
モスクも建設しています。
お互いが歩み寄り、理解しあおうと、
試行錯誤しているのです。
自分と肌の色が違い、
よくわからない宗教を信じていて、
食べるものが違い、言葉もカタコト・・・
そういう「自分と違う」人が、自分の近くに住んでいたり、
接していかなければならないとしたら、
不安も心配も多いと思います。
「自分と違う」人たちと、どう共に暮らしていくか。
相手を知ること、自分を知ってもらうこと。
ありきたりな方法かもしれませんが、
この、ありきたりな方法が一番大切なんだと思います。
そして私たちの恐怖心を政治的に利用されることほど、
恐ろしいことはありません。
世界中で起きている、民族紛争や宗教戦争は、
紐解いていくと「国家間の政治的争い」であることが多いのです。
自分の気持ちが、知らない間に誰かに利用されないように、
常に自分の目で見て、自分の頭で考える習慣を持ちたいと思います。