1年半前、ロッブリーにあるナンプー寺でのお手伝いから帰ってきたとき、
「バンコクにもAIDSホスピスがあるよ」と、偶然聞きました。
クロントイにあるそのホスピスはかなり有名なようですが、
私は全く知らず、「いつか訪問してみたい(☆゚∀゚)」と
思っていました。
クロントイ幼稚園があるメインストリートを、
そのまま車でまっすぐ行くと~
左側に白くて綺麗な建物が見えてきます
そこには、
「Mercy Centre : AIDS hospice」の文字が
どうやらここは財団によって運営されてるようで、
AIDSホスピス以外の活動もしている感じ・・・
この日、Nさんに事前にアポを取ってもらっていたおかげで見学ができましたが、
最近、「見学」というものはあまり受け付けてないようです
というのも、
「ここを訪れる人たちは、見るだけ見て、何の支援もしてくれないから」と
やはり、お金とか人手とか、いろいろと必要なものはあるのに、
見るだけで帰ってしまうなら、案内する手間暇がもったいない、
ということなのかもしれません
中の建物はこんな感じ~(*゚▽゚*)
ここには主に、生後まもなくから18歳までの子どもたちがいて、
母子感染しているのは、疑いも含めて60人。
そのうち40名は、すでに感染しているとのこと
部屋は男女別になっているけど、
思春期の男の子は他の施設に移すので、
ティーン男子は、ここにはいないそうです
子どもたちは2階から上で生活しています。
1階エリアは成人部屋で、その多くが男性です。
重症な方もいます。
30床あって、今ここで生活しているのは23人
ここでは、治療が上手くいって比較的元気な人が、
末期~重症な人のお世話をしています( ̄∠  ̄ )ノ
このシステムは、ナンプー寺でも同じでした
このホスピスの考え方に、私は凄く共感したのですが、
「エイズは死ぬ病気じゃないからちゃんと治療したら良くなります。
エイズは死ぬのを待つ病気ではありません。
だから治療をして改善した人は、どんどん自宅に帰します。
そしてうちのスタッフを自宅訪問させて、フォローアップしていきます。」と
私が以前ナンプー寺で見た人たちは、
先進国ではもう飲まれなくなったARV(エイズの治療薬)を飲んでいました
それにしょっちゅう人が亡くなっていましたし、
積極的な治療が行われている感じはしませんでした。
しかしMercy Centre では、比較的新しい薬を飲み、
何かあればすぐに病院に搬送し、入院治療します
同じホスピスでも、こんなに方針が異なるのは、
ナンプー寺とMercy Centre の役割が異なるから、なのかもしれません。
しかしMercy Centre のスタッフは、
「エイズの末期の人たちの悲惨さは、ナンプーもここも同程度です」
と言っていましたが、、、
以前は、女性の入所が多かったのですが、
(買春する夫からうつった妻、など)
最近は男性の入所がとても多いそうです。
多くがゲイの男性です。
ここは、1階が幼稚園で、2階が女性の施設です。
エイズに感染した女性たちがここで暮らしています
Mercy Centre では、タイ全土で21カ所の幼稚園運営を行っており、
約3000人の子どもたちが通園しています
これも、この財団の事業の1つです。
また、タイでは小学校からお金がかかるので、
貧困層の子どもたちを学校に通わせるため、
小学校~大学の奨学金事業も行っています
現在10人の学生を留学させており、
中には帰国してからMercy Centre で働く人もいるそうです。
上の階に行ってみましたが、子どもたちは1人もいませんでした。
今、学校に行ってる時間なので、
15時過ぎまで帰ってこないとのこと( ̄∠  ̄ )ノ
私はそれを聞いてびっくりです
だって、ナンプー寺には、
ティーンエイジャーの子どもたちがチラホラいて、
中には「死ぬのを待つだけ」の子たちもいました
だから、ホスピスから学校に通う~なんて、
思いつきもしなかったんですΣ(・ω・ノ)ノ
ここのスタッフも、子どもたちが何人いるか把握していないそうです。
かなり流動的に出入りがあるので、
その日によって、人数が異なります。
Mercy Centre はストリートチルドレンが暮らす施設を
タイ全土に6カ所約200人分、持っています。
もちろん、施設には入りたくない子どもたちもいるので、
その時はスタッフが路上に出向きます
そこで、自分の身の守り方、コンドームの使い方などを教えます
Mercy Centre で治療して良くなった子どもたちがスラムに戻って心配なのは、
麻薬に手を出したり、無防備な性行動を取るなど、
リスクがあることです
そのためにも、スタッフによるこのような活動が、
必要になってきます。
施設内をとことこ見て歩くと、
図書館があったり、
ここはPCルームです
中を見ると、制服を着た子どもたちがたくさんいたのですが、
クロントイの子どもたちとのこと。
ここは、地域の子どもたちの出入りが自由で、
無料でPCが使えます
PC教室のカリキュラムも張り出されていて、
本格的に習えるようです。
このパネルは、活動の様子です。
AIDS患者の家庭訪問をするときは、
その患者を診るだけでなく、
家族の健康チェックもするし、
時には家が壊れていたら直したり、などなど、
患者家族をトータルでサポートしています
ちなみに現在、8名のスタッフが2人組になって、
374家族を、1日2~3件のペースでフォローしています(* ̄∇ ̄*)エヘヘ
これをちまちま計算してみると、
1~2か月に1回のペースで訪問してもらえるわけですね、スムーズにいけば。
この他に、電話でのカウンセリングもおこなっています
Mercy Centre は約30年前にここで活動を始めましたが、
最初から、
このように組織だったプロジェクトチームを持っていたわけではありません。
今まで、子どもたちは5年でどんどん亡くなって行きました
しかし、10年前から徐々に変わってきたのです。
その大きな理由は「新薬のおかげ」と言っていました。
でも、薬だけでここまで意識の改善が起こるでしょうか?
やはり、「何とか良くしたい」と思った人たちが集まり、
「患者さんにとって何がベストか」と真剣に考える人たちが集まり、
だからこそ、
どんどん新しいことにチャレンジし、
「死を待たずに元気になる」AIDSホスピスができたのではないでしょうか?
最後に、
「ボランティアは募集していますか?」と聞くと、
過去に日本人看護師が、ここで1年間ボランティアを行っていたそうです。
ボランティアの最低期間は、半年です
興味のある人は、訪問してみるといいかもしれないですね。
ありがとうございます。
mana