劣化ウランの被害を改めて考える

イラク帰還米兵が語る、劣化ウラン被害

(近いうちに、写真もUPします)

「劣化ウラン」という言葉をきいたことがあるでしょうか。
この場では、劣化ウランについての解説は省略しますので、
詳細については、劣化ウラン廃絶キャンペーンのサイトをご覧下さい。

アメリカでは、いまだにイラクの劣化ウランの被害を認めていません。
今回来日した、マシュー夫妻(夫・ジェラルド、妻・ジャニス)の
末娘であるヴィクトリアの3本の指と右手のほとんどが欠損しています。
原因は、ジェラルドがイラク滞在中に、
劣化ウランによる高濃度の放射能を浴びていたからです。

ジェラルドさんはイラク滞在中に体調不良を訴え帰国。
そして検査。
検査結果を、所属してた陸軍に問い合わせるも、
「検査なんてしてない。検体がない」という、ありえない返答だったそうです。
ドイツの研究所で検査してもらったところ、
尿から高濃度のウランが検出されました。

その事実を知ったジャニスさんは、大統領に手紙を書きました。
その手紙は、ブッシュからペンタゴンにまわされ、
ペンタゴンより、「まず、あなたの夫は検査を受けていません。
イラク滞在中、あなたの夫は劣化ウランにさらされていません。」という
返事が来たのです!!
それでもあきらめず、ジャニスさんは手紙を書き続けています。

今、ジェラルドさんは、元アメリカ兵8人と訴訟を起こしています。
集団訴訟ではなく、あくまでも個人個人の訴訟です。
その元米兵の中には、「軍歴20年以上」というベテランもいますが、
そういう人たちでさえ、劣化ウラン(DU)という言葉を聞いたことがなく、
自分たちが被害にあって始めて、聞いた言葉だそうです。
アメリカ政府は、「劣化ウランに対する安全トレーニングをやっている」と
言っているが、誰もそんなもの見たことがありません。
1991年の湾岸戦争でも多くの米兵が原因不明の病気で亡くなりました。
そして多くの障害児が生まれたのです。
これらもDUの被害に違いありません。

ジェラルドさんは、海兵隊→陸軍と渡り歩き、軍をとても愛していました。
しかし今は違います。
DUの情報を隠蔽した軍に対する怒りと憎しみ。
考え方が一変したのです。

2人とも、国を訴えることで「殺されるんじゃないか」という不安がありました。
「何をするか分からない政府ですから。」とジェラルドさん。
しかし、ヴィクトリアちゃんを見てると、
「立ち上がらなければ!」と思ったそうです。
裁判では以下のことを訴えています。

**娘の障害はDUによるものだと認めさせる
**軍がDUの情報を操作したこと、正しい情報を与えてくれなかったこと
**この戦争は、国際人道法を破った戦争であること
**世界中で作られた、非人道的兵器の全面使用禁止
**軍の医療保障制度を変える
(軍人は軍医に診てもらわないと保険が使えない)

まわりの反応としては、ジェラルドさんの父親が反対し、
軍の友人たち全てと、縁が切れてしまいました。
2人の仲のいい軍医や、退役軍人病院のドクターにも仲の良い人がいるそうですが、
情報をくれるだけで、「劣化ウランによる被害」という
診断書は書いてくれないそうです。

ジェラルドさんたちが訴訟を起こしたとき、マスコミは一斉に取り上げました。
そしてアメリカ国民は、この問題に一気に飛びついてきたのです。
しかし、選挙前になるとマスコミはこの問題を扱わなくなりました。
「言わない、書かない、騒がない」と、情報をコントロールしたのです。
アメリカでDU問題を扱ってるNGOは、小さなところばかり。
ジェラルドさんは一箇所一箇所まわって、話をしています。

アメリカは、京都議定書、国際戦犯法廷など、多国籍間の条約に
調印していません。
民主的な国でありながら、極めてドメスティックな国です。
他の民族や他の国家のことなど関心がなく、想像力を働かせることさえ
困難なようです。
ジェラルドさんは、「だから、私たちはこの方法をとっているのです。
いくらイラク国民のDU被害を訴えても、アメリカでは関心を集めません。
自分たちの被害を訴えると関心が集まるのです」と。

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DU問題は、私たち日本人にとって他人事ではありません。
自衛隊が駐屯しているサマワで、DUが使用されたことが明らかに
なっています。高濃度の放射能が検出されているのです。
しかし、このことはなかなかメディアには流れません。

彼らは被爆し、そしてすでに帰国している人たちもいます。
被爆をしても、本人や子どもたちに一斉に、一気に症状がでるわけではありません。
しかし、被爆をしたらDNAが傷つけられるのですから、
時間をかけて、確実に、子々孫々、被害が拡大していきます。
今のところ、国内で症状が出たという報告はありません。

サマワの自衛隊の健康診断が行われていないという現実も存在します。
日本政府は、イラクでDUが使用されたことを認めています。
しかし、政府の見解としては
「米兵、イラク国民、自衛隊のDU被害は存在しません。
DUが使用された場所に、自衛隊は立ち入らないようにしています。
また、マスク着用を義務付け、放射能レベルを計測する器械を持ち歩いて
もらっています。自衛隊員に被害が起きないように予防策をたてています」と。
そういう理由で自衛隊の健康診断は行っていません。

ちなみに放射能の予防にマスクは全く効果がありません。
それに健康診断がもし実施されたとしても、
結果は政府によって握りつぶされてしまうでしょう。
ジェラルドさんは、そんなことを言っていました。

私たちは、イラクで何が起きているのか知らされていないのです。

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アメリカはドメスティックな国で、多国籍間の条約には調印しませんが、
世論の盛り上がりを無視するようなことはしません。
私たちが声を出し、DU被害を訴え続け、世論を盛り上げると、
アメリカは、DUについて認めざるをえなくなります。

まず、DU被害の問題を一人でも多くの人に伝えましょう。
これはイラクだけの問題では決してありません。
私たちの問題なのです。
そして、もう少し勇気のあるかたは、米大統領に手紙を書きましょう。
あきらめず、しつこく、訴えていくのです。
ここに手紙の送り先が掲載されています。

これから生まれてくる子どもたちのためにも、
DUのない世界をつくっていきたいと思います。

irakuiraku02
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