みえない雲

もう終わってしまった映画ですが、
見た方はいらしゃるでしょうか?

ドイツの原発事故を通して描かれる、極限の愛。
ストーリーはフィクションですが、
実際に、86年にウクライナのチェルノブイリで原発事故が起きてますし、
あながち、「全くの作り話」とは思えません。

しかし、内容を細かく見てしまうと、
「うーん、、、その描き方は誤解を与えるかも・・・」と、
少し気になる所がありました。

放射能の被曝には、早く症状が現れる「急性障害」と、
何十年も後になって現れる「晩発性障害」とがあります。
放射能の恐ろしい所は、後者の晩発性障害です。
内部被曝や低線量被曝で、症状が現れるのが数年、数十年後になり、
長い時間をかけて、体が蝕まれていくのです。
そして、内部被曝や低線量被曝では、
遺伝子が傷つけられている可能性が高いので、
子孫に何らかの影響を及ぼすことが考えられます。

例えば、
広島・長崎で被爆した方々の、孫・ひ孫の世代に、
何らかの異常が徐々に現れ始めるのではないかと、言われています。
これは人類にとって未知の世界なので、
何が起こるか予測するのが難しいのであります

(体内被曝)→放射能で汚染されている空気を吸ったり、汚染された食物を摂取し、
       放射能が体内に入ることで、一定量の放射能によって常に体内で
       被曝していること。
       ちなみに、チェルノブイリ原発事故時に放出された放射能は、
       3週間かけて地球を一周したと言われています。
(低線量被曝)→少量の放射線を長期間浴び続けること。
        原発事故で言えば、地域住民や事故処理作業を行った労働者などが
        低線量被曝する。

この映画のラストは、いかにも少女が「治って」、「このままずっと平和が続く」
かのように描かれています。
もちろん、原発事故だからといて、悲しい・悲惨な内容にしたほうがいいと、
そんなことを言ってるわけではありません。
ただ、観てる人に、「これで全てが終わったんだ。よかったね」と、
誤解を与えてしまうかなあ~~、と。
「いやいや、ここからが問題なんですよ」と、突っ込みたくなりました。

現在日本には、55基の原発があります。
そして、まだまだ作る予定です。
日本で原発事故が起きたら、ひとたまりもありません。
映画の中では、住民が車や電車でこぞって逃げ出しましたが、
日本は島国です。一体どこへ逃げられるでしょうか?
原発は人間が作り出したもの。
事故の責任は自分たちで負うしかありません。
逃げる場所なんてないのです。

私は12月にドイツに行って来ました。
バスで古城街道を通ってるときに添乗員さんが、
「右手に見えるのは原発です」と。
緑が美しく、中世のお城が残ってる場所に、突如現れる大きな煙突。
本当に、不気味でした・・・
ドイツでは、電力の3割を原子力でまかなっていると言われています。
脱原発として知られているドイツの今後が気になる所です

みえない雲

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