ネブローズの祭&映画上映会

「クルド」という民族をご存知でしょうか?
トルコ、イラン、イラク、シリア、アルメニア、にまたがって暮らしている、
国を持たない世界最大の民族です。
クルド人は、これらの国の中で少数民族として存在していますが、
その国の政治的・文化的圧力により、独立を求める動きが出てきたため、
迫害の対象になっています。

そして、3月21日は、春分の日。
昼と夜の長さが同じになる日です。
3月21日は春の始まりとされていますが、
それだけでなく、この日にはとても深い意味が込められているのです。
抑圧と迫害の終焉と、権利と正義の始まりを意味しています。

そしてクルドの新年を祝う「ネブローズ祭」(3月21日)が
世界各地で開催されます。
日本では、埼玉県蕨市で「ネブローズ祭」が開かれ、
24日は、クルド映画の上映会がありました。
(クルディスタン&日本友好協会主催)

残念ながら私は仕事で、お祭には参加できなかったのですが、
映画上映会には参加。
「わが故郷の歌」です。

イランイラク戦争終結直後の話。
イランに住む有名ミュージシャン・老ミルバが、
自分から離れていった元妻ハナレを助けるけるために、
息子2人を無理やり引き連れて、旅に出る。
クルドの映画を見ると、いつも、
子どもたちのたくましさに驚かされるのだが、
この映画では、ちょっと間が抜けていてハラハラする男たちとは対照的に、
力強く暖かで美しい女たちに、目が奪われる。

一夫多妻制で、女性は歌を歌ってはいけない。
そして毎日何度も、爆音とともに上空を通り抜ける、イラク軍機。
映画には一貫して、暗い空気が立ち込めている。
そして、この映画をさらに重くしているのは、
「イラク大統領、サダム・フセインがハラブシャで行った、
化学兵器による、クルド人の大虐殺」

この映画に出てくるクルド人はみんな、
サダムを悪く言い、全てをサダムのせいにしている。
しかし、イラク戦争が悪化し、サダムが絞首刑になった今、
そんなクルド人たちの声は、一体どこへ行くのだろうか。。。

ハラブシャという街は、イラクがイランを攻略するために重要な都市。
サダムはそこで、マスタードガスや神経ガスを使って、
約5000人のクルド人を虐殺しました。
しかしアメリカやイギリスを始め、
国際社会はサダムの悪行を糾弾しませんでした。何故か?
端的に言うと、イランイラク戦争当時、
西側諸国は武器などをイラクに提供して支援をしていたときに、
化学兵器の技術や原料も提供していたのです。
ハラブシャで直接クルド人を虐殺したのはサダムですが、
それを支援したのは西側諸国だったのです。

そして、実は、ハラブシャでクルド人を虐殺したのは、
イラクではなく、イランだったのではないか?
という話もあります。
サダム政権当時の、アジス副首相が証拠をもっていたのではないかと。
去年、サダムを拘束してから死刑を執行するまで、
あっという間でした。
それは、アメリカやイランにとって都合の悪い事実が表面化するのを恐れて、
早く刑を執行したのではないかと言われています。

この映画でクルド人が一斉に、
サダムに怒りをぶつけている様子を見ると、
一種の「異様さ」を感じてしまいますが、
クルド人の置かれている状況が過酷であることに
変わりありません。

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