前夜の苦悩

サピナ村の子どもたちの皮膚を見て、
抗生剤が必要だと感じたため、
薬局で、シロップの抗生剤を購入しました

町で唯一の抗生剤。
小児用の抗生剤は、これ一種類しかないという
お店の人に飲み方を聞くと、
「備え付けのスプーン1/2杯を、一日2回」

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この子は、伝統医療である「黒い粉」を、
皮膚が剥がれている場所に塗っています。
この「黒い粉」の成分を、村の人に聞いたのですが、
よくわかりませんでした。
傷の状態は、湿っている感じです。
特に膿んでいる様子もなければ、水泡もかさぶたもありません。
しかし気になるのは、
右腕や首周りなどに、ブツブツと盛り上がった湿疹があることです

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そしてこの子は、
右頬の大きめの、盛り上がった湿疹の中央から、
膿がでていました。
湿疹の感じは、前の子と同じです。
もしかしたら、前の子の湿疹の中には、
膿が溜まってるかもしれません

そして、この子たちのほかにもう一人、
同じような大きめの湿疹ができている子がいます

私はその日の夜、
抗生剤の説明書を見ながら、飲み方を確認。
しかし
その説明は、どこにも書いていな~い
親切にも、英語やフランス語だけでなく、
スペイン語やアラビア語での説明も載ってるのに、
英語とフランス語を訳す限り、
本当に、スプーン1/2を2回でいいのか、定かではありません。
薬局の店員の言ってることを信じていいのだろうか・・・
薬剤師ではないだろうに

そして、
子どもたちがどんな菌に感染しているかわからないと、
適切な抗生剤を使用し、きちんと治療することができません。
下手に抗生剤を使用すると、耐性がつくことがあります。
つまり、抗生剤が効かない菌が発生してしまうわけです

どの抗生剤を使用するか?

それは、私たち看護師が判断することではありません。
医師の領域です。

しかし、ポ市の病院には、
菌を特定できるようなラボはなく、
医師もいつ来るのかわからない状態。
手に入る抗生剤も一種類。

今、子どもたちは発熱もなく、
元気に泣いています

しかし、子どもと老人に急変はつきもの。
皮膚がはがれて、膿んだ状態で、
放っておいて、いいのだろうか・・・

ぐるぐるぐるぐる
悩んだ結果、
「この抗生剤を使うことで、もし、子どもたちに何かあったら、
私はブルキナファソに骨を埋めよう」

それで責任が取れるとは思わないけど、
そう決意して、翌日村に行くことにしたのであります

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