イラク南部の都市・バスラ在住の、
ガン専門医と、環境NGOのスタッフが来日し、
東京で講演会を行いました。
バスラはクウェート国境に近いこともあり、
1991年の湾岸戦争、
2003年のイラク戦争で、
劣化ウラン弾が多く使われた場所です。
そのため、1991年~2003年にバスラで使用された
劣化ウランの評価をするために、
ガンの疫学調査を行っています。
(4病院でデーター収集)
バスラでは、過去10年間のガンの発生率が上昇しています。
ガンの発生率の上昇は、
診断技術の上昇や、報告の徹底、人口の変化、なども
影響しているので、劣化ウランによるものと
断定するのは困難です。
ガン患者は病院で登録を行なっていますが、
病院に来れない・来ない人もいるので、
全てはカバーしきれていません。
ちなみに2005年の登録者数は1822人です。
女性の方が多く、それは女性には「乳がん」があるためだそうです。。
乳がんは放射能の影響を受けやすいガンと言われているそうです。
ちなみに1990年の乳がんの発生率は4.5%
2005年の発生率は13.4%にUPしています。
リンパ腫は4倍UP.
他のガンは、目立って増えていません。
バスラを5つのエリア(東西南北、中央)に分けて
発症率を調査すると、
特に西エリアが多く、それは1991年の湾岸戦争で、
劣化ウランを使われた場所です。
そしてその次が東エリア。
東はクウェート国境に近いので、
爆撃を受けています。
1991年にイラクで使用された劣化ウランは300~400トンと
言われています。
2003年はイギリスが100トン以上の劣化ウランを都市近郊で
使用したと言われています。
発症率を年齢別に見てみると、
年齢が上がるごとに、発症率も上昇し、
65歳以上はイラク平均の3倍。
ちなみにイラク全体でガンの発生率がトップの年代は、
60歳~64歳だそうです。
発症率は、年齢や地域が関係しているとのこと。
ではどうして年齢が上がると、ガンの発生率も上昇するのでしょうか?
それは年齢が上がると免疫機能が低下するからと、言われています。
バスラのガン発生率第一位は乳がんです。
第二位がリンパ腫。
リンパ腫は放射能との関係が強いガンと言われています。
第三位は肺がん
第四位は白血病です。
発症の、はっきりとした上昇が見られ、
バスラの市民は常にガンのリスクにさらされています。
2005年は1年間集中的な研究が行われましたが、
正当に評価するのは困難です。
疫学調査の後にガン別の調査も行わなければなりません。
①乳がん②白血病③その他のガン、
に分けて調査していく予定です。
意外に、バスラでのガンの発症率は世界平均と比較して、
そんなに高くないそうです。
しかし、バスラでの過去の発症率と比較すると上昇しています。
そもそも、WHOが発表した中東におけるガンの発症率は
それほど高くないとのこと。
それは、平均寿命との関係が考えられます。
ドイツにおけるガンの発症率はイラクよりもっと高いのですが、
先進国は平均寿命が高いので、発症率も高くなります。
イラクはあまり平均寿命が高くありません。
にも関わらず、世界平均と同じくらいの数値を出しているので、
人口当たりの患者数はかなり多いと思われます。
バスラのドクターが劣化ウランの影響を認識したのは、
1996年のこと。
それまで劣化ウランが使われたことは知らなかったそうです。
しかしそれ以前からガン患者は増え始めており、
イラク政府はドクターたちに、ガンの発症率などを確認していたそうです。
ガンの発症率の上昇というデーターがあっても
正当に評価されないのは、
①他国で治療する人がいる
②患者登録する前に亡くなる
ので、正確なデーターが得られないという状況があるためです。
しかし、
今、現在、ガンや白血病で苦しんでいる人がいることには、
変わりありません。
110~130台を行ったりきたり
しています。
11~14番を行ったりきたり
しています。