マルチシムー二教会クリニックでのIDPに対する医療支援

マルチシムー二教会クリニック

おはようございます。こちらは朝の4時。昨晩はiPhoneを握りしめながら、いつの間にが爆睡してしまいました(^_^;)

昨日の早朝にアルビルに着き、初日とは思えないくらいアチコチ見て回りました。とは言っても、プロジェクトの概要をザッと把握するするために、視察しただけ。今日から徐々に始動します!

ダーイシュ(IS)に追われて自分が住んでいた場所に住めなくなったクリスチャンが、アルビルのアインカワ地区(クリスチャンの地区)に国内避難民(IDP)として避難し、その中の医療従事者がクリニックを立ち上げました。アインカワ地区はもともと5万人が住んでいて、去年逃げてきた国内避難民は5万人。つまり一気に人口が倍に増えてしまったわけです。

同じクリスチャンということで国内避難民の受け入れに寛容ですが、地元の人々はクルド人、国内避難民はアラブ人ということもあり、一筋縄で行かないこともあるようです。

写真は、医療支援先の母体となるマルチシムー二教会の中に立ち上げたクリニック。神父さんたちがとても好意的にサポートしてくれています。

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昨日は訪問したのが午後だったので、患者さんはほとんどいませんでした。クリニックと言っても、コンテナを組み合わせで作られた、簡易的な場所です。

このクリニック内にも薬局はあるのですが、ここで配られているのは、慢性疾患「以外」の薬のみ。慢性疾患の患者さんはあまりにも多いので、彼ら用の薬局は別の場所にあります。

それがここ。
マールユースフという名前のクリニックで、医師が診察もしていますが、慢性疾患の薬の配布を一気に引き受けています。私たち、JCFがサポートしている薬品はここで配布されています。このクリニックも、国内避難民の医療従事者が自主的に立ち上げ、教会がサポートしています。

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マールユースフのクリニック

マールユースフでは、患者さんの登録をして「お薬手帳」を配布していますが、マルチシムー二にはお薬手帳がないんです〜しかも、処方箋の管理に問題点が見られるため、今回のプロジェクトではまず、「処方箋管理の構築」をして、次のステップで「お薬手帳の拡大」を実施したいと考えています。←ちなみに「問題点」とは、処方箋にミリ数や飲み方が明記されていなかったり、複写になっていないので、処方箋をどこで管理保管するのがベストなのか曖昧である点。

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どこの薬局でもこんな風にお薬手帳を元に薬を配布すれば、「薬を多く渡してしまった」「他の病院と重複してしまった」というようなことが防げると思うんです。←実際にそういうことが頻発していて問題となり、その対応策として自主的に「お薬手帳」を生み出しました。

すごーく素晴らしいシステムなのですが、「患者登録に時間がかかる。なぜなら登録する人出が少ないから」という問題が起きていて、その部分をどうするかが、今ここでの課題になっています。

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私たちJCFがサポートしている薬品もこちらで配布しています。が、きちんと在庫管理できていないフシがあり、その辺りをきちんとできるようにするのも私の今回の仕事の1つです。

プロジェクトの概要

プロジェクトの実施団体→日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)
活動地→イラク共和国アルビル県アルビル市アインカワ地区
実施期間→2015年2月~7月

背景

イラク国内では、去年の夏から激化したダーイシュ(IS)の迫害によって、ニナワ県モスル等からクルド自治区に約85万人の方々が逃れてきています。彼らは建設中の建物や空き家、学校、広場そして宗教施設等で生活をしています。その内、約5万人のクリスチャンは、クルド自治区のアインカワ地区(クリスチャンの地区)で暮らしています。

そんな中、同じ国内避難民でありクリスチャンの医師らが、マルチムーニ教会にクリニックを設け、診療活動を行っています。去年の7月から1日約500人近くを診察しているクリニックでは、9月から薬品購入の資金が足りず、医療設備も不十分なため、慢性疾患を抱える方々の継続した治療が困難な状況にあります。

JCFが2009年から行ってきたサポートしてきたイラクの小児科医であるリカァ・アルカザイル医師が、去年の7月にご家族とともに長野県松本市に避難してきました。リカァ医師の友人であり親戚でもある小児科医のナガム医師がマルチシムーニ協会のクリニックの立ち上げと継続した運営に関わっているため、今回JCFがクリニックのサポートを実施することになりました。

事業内容

1.初期診療における投薬指導
2.カルテ作成と管理スタッフの育成
3.医療チームの派遣による医療体制構築支援

IDPとは

国内避難民のこと。「難民」とは異なり、自分の国の中で避難している人々をさします。

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