「ホテル・ルワンダ」試写会とシンポジウム②

内容が長いので2つに分けています。
①からお読みください。
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その後、パネルディスカッションが行われた。

ポール・ルセサバギナ氏の他に
朝日新聞の松本仁一氏と
アジア経済研究所の武内進一氏が加わり、
ピースビルダーズ・カンパニーの篠原氏が
コーディネーターを務めた。
以下は、ディスカッションの内容である。

ベルギーによる植民地支配が終わり、
フツのリーダーが腐敗していく。
その腐敗・失政の原因をツチのせいにする。
「経済が低迷しているのは、ツチのせいだ」と、
自分たちの責任を回避しようとする。
現在、ツチ・フツの対立は起こっていないが、
今後さらに経済状態が悪化すれば、
また民族同士の対立が起こりうる。
では、民族同士住み分ければ解決できる問題なのか?
いや、違う民族同士、共生していかなければならない。
ならば、解決策として、
1、「民族・部族」より大きな目標を作る
2、経済状態を改善する
つまり、はりあいのある社会を作る必要があるのだ。

政治・経済については、今の日本もルワンダと似たようなものである。
しかし日本では内戦に至ってない。
それは何故か?
1、日本は、(一応)単一民族と言われているので、
  民族同士が争うことはない。
2、ナショナリズムの教育がされている。
  (生活習慣や、思考回路など)

2003年、大統領選挙があり、カガメ大統領が95%の得票率だった。
95%・・・つまり、カガメ大統領の強権化が懸念される。
そして、虐殺後の国民和解が進んでいるかどうか、という問題がある。
国連はタンザニアに、「ルワンダ国際刑事裁判所」を設置したが、
この10年で裁かれたのは、たったの25人。
ツチの虐殺に関わった疑いで拘束されたフツの数は
10万人に上ると言われている。
裁判は、一体あと何年かかるのだろうか?
ルワンダ政府は拘置所維持の経費削減と裁判に費やされる時間を短縮するため、
2002年に「ガチャチャ」と呼ばれる草の根裁判の導入を決定した。
ガチャチャとはルワンダの伝統的な制度で、
村の人々の前で被害者と容疑者がそれぞれの言い分を話し、裁きを受ける場である。
また罪を認めた容疑者を許し、村の生活に戻す和解の場でもある。
家族を殺されたと主張する村人たちは彼をどのように迎えるのか、
そして彼らを許すことはできるのか、という問題も残る。
そしてガチャチャは読み書きができない人たちが参加し、簡単に行われている
裁判なので、ジェノサイドの戦犯にしかるべき法の裁きが行われていない
という問題もある。

また、ルワンダ愛国戦線(RPF)側の戦犯が裁かれていないという問題もある。
現大統領カガメは、RPFの元リーダーである。
つまり、RPFは現政府なので触れられないのである。

戦犯で、有罪が確定している人はまだいない。
これのような状況で、一体どんな風に和解が進むというのだ。
今のルワンダに必要なのは、ツチとフツの真の対話である。
そこから和解が生まれるのである。
カガメ大統領はフツだが、ジェノサイド以降、再びツチが支配を行い、
対話をしようとする人たちはいないという。

では、私たち日本人はルワンダにどう関わればいいのか?
多くのNGOがルワンダに入り活動している。
そして、国連機関も支援を行っている。
またローカルなNGOも存在する。
私たちは日本から彼らの活動を支え、また現地で彼らがタイアップすれば
よりよい支援が行える。

そして、重要なのは、
私たち一人一人が、アフリカを知ること。
ルワンダを知ること。
そして、その真実を伝えること。

私が思うのは、
「何とかしよう」という熱意を持ち続けることだと思う。
映画を観たときに感じた気持ちをずっと持ち続けるのは
容易なことではない。
しかし、それをしなければならないのだと思う。ruwanda-eiga03

中央がポールさん。

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