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ルウェイシド難民キャンプ
ヨルダンにあるルウェイシド難民キャンプは、イラク国境の約60km手前、砂漠の中に位置し、現在75家族495人がUNHCR管理の下、約3年もの間ここで生活をしています。「閉じ込められている」という表現の方が正しいかもしれません。
私が難民キャンプを訪問するのは今回が初めてです。砂埃の中にテントがひしめき合う、劣悪な環境をイメージしていましたが、実際に訪れてみるとそれなりに小奇麗で感染症が蔓延している様子もありませんでした。
2005年9月にスマイル子どもクリニックが健康診断を行った小児166人のうち、再診が必要な小児22人と、成人5人のトータル27人をピックアップし、診察にあたることにしました。
本当なら、時間のある限り多くの患者さんを診たいところですが、井下先生、佐藤事務局長、私(看護師)の3人での診察なので、それは叶いません。
診察開始
しかし27人のうち、非ホジキンリンパ腫が悪化してアンマンの病院に入院している女の子が1人、リハビリのため入院している成人の患者さんが1人、デンマークやNZに受け入れられた小児の患者さんが8人、成人の患者さんが2人。そして27人以外の小児の患者さんが1人、成人の患者さんが2人がプラスされ、結局診察をしたのは小児14人、成人4人のトータル18人でした。
私が気になったのは、虫歯の患者さんが多いことです。口腔ケアというのは本人も支援するほうも忘れがちですが、虫歯を放ってくと食事ができなくなったり、または食欲不振になり、栄養不良につながります。また、場合によっては敗血症で死亡することもあるので、「たかが虫歯」と、放っておくことはできません。就学前の子どもたちが集まるプレイルームには、歯ブラシの絵とともに「歯磨きをしましょう」というような絵が張ってあったのですが、きちんと子どもたちに指導しているのか気になるところです。
今回の診察では、栄養不良や虫歯だけでなく、尿路感染、稽留睾丸、虫垂炎なども見られましたが、私たちが次に訪問するまで、誰が経過観察をしていくのか?というシステムは特に作られていません。
実際に、2005年の9月にスマイル子どもクリニックが健康診断に訪れたときに、「治療の必要があるので、病院にかかってくださいね」と伝えてあっても、半年たった今回、「病院には行っていません」という答えがチラホラ聞かれました。
治療するかしないか、自己管理をきちんとするかしないかは、本人とその家族にかかっています。例えばUNHCRは、命に関わるような緊急の場合であれば積極的に関わってくれるのだと思いますが、そうでなければ難しいでしょうし、難民キャンプ内の診療所の医師たちも、こちらから働きかけなければ自分の仕事以外のことは、してくれません。
ルウェイシド難民キャンプには、スマイル子どもクリニックが薬品を寄付したり、健康診断をするなどして関わり、私たちJIM-NETはそのお手伝いをしています。
今後、スマイルクリニックがどうキャンプに関わっていくのか、という問題にもなってしまうのですが、今後も続けるのであれば、何らかの形で次につなげていければと思います。
キャンプ内にある診療所。ここでは、保健省から派遣された医師や看護師が働いています。
JIM-NETの井下先生と佐藤事務局長。