ベトカ地区。高汚染地の病院で。

ベトカ地区病院

病床数140床のこの病院は、線量が高いこの地域全体をカバーしている病院です。診療所を併設していて、外来者数は一日150~200人。ベトカ地区では小児も含めて肺癌が増加しています。原発事故直後から事故と肺癌との関連が言われてきていましたが、結局証明はできませんでした。原発事故と医学的関連性が証明できているのは、小児甲状腺癌だけなのです。

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日本では新生児に、甲状腺の検査を行います。しかしベトカ地区では検査の試薬が高いので行えないでいます。ちなみにベトカ地区はヨード不足で、ヨードを飲んでいる母親は多いと言います。

分娩室を見学~

ベトカ地区病院の院長であるナージャ先生は専門が産婦人科ということもあって、分娩室の見学をさせていただきました。

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寝心地の悪そうな(苦笑)分娩台~。

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インファントウォーマーは、まだまだ使えます。

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保育器も足りてる様子。

ナージャ先生のお話

ナージャ先生曰く、「小児甲状腺癌は1999年をピークにその後減少しましたが、2010年には多くなると思います。なぜなら事故当時被曝した子どもたちが大人になるからです。」
もちろん、これには科学的根拠があるわけではありません。しかし長年ベトカ地区で診察をしてきた先生が抱える、漠然とした不安・・・一種の「勘」のような物があるのだと思います。本当に小児甲状腺癌が増加するかどうかではなく、「何かが起きるのではないか」という不安。

そして、こうも言っていました。「母親の異常が多く、年々お産が難しくなってきています。感染症、貧血、心疾患、甲状腺異常・・・」しかし、難しいお産が増えた背景には、生活習慣の変化や医療技術の進歩があると思います。これはどの国もが抱える問題でしょう。

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「被曝した女性たちは、出産を不安には思っていない」と、ナージャ先生。なぜなら、「希望があれば遺伝子診断を行うし、異常があれば出産を希望しないから。」本当にそうでしょうか?「子どもに異常があれば中絶すればいい。」そんな風に割り切れる女性ばかりではないはずです。

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